日本語議連が「外国人労働者の日本語教育支援」を議論

 

日本語教育推進議員連盟(略称・日本語議連)の第3回総会(勉強会)が15日、「外国人労働者と日本語教育支援」をテーマに開催された。臨時国会はこの日未明に「統合型リゾート(IR)整備推進法」(カジノ法)が本会議で可決成立し、事実上幕を閉じたが、日本語議連は意欲的に議論を行った。

この日の勉強会に呼ばれたのは、日本国際協力センター(JICE)の打田斉道・研修事業部長▽国際研修協力機構(JITCO)の福島康志・業務執行理事能力開発部長▽日本経済連合会(経団連)の岩村有広・経済政策本部長ら。JICEは定住外国人の就労、定着支援、JITCOは技能実習生の受け入れ実施する立場から日本語教育の取り組みを説明。経済団体の経団連は、外国人材受け入れ促進に向けた考え方を示した。

JICEは定着、支援研修の中で日本語教育を実施し、JITCOは管理団体に日本語教育を任せている。議員側からはいずれも十分な教育は行われているとはいえない、という認識が示された。また、経団連からは非漢字圏の留学生が増えたことで企業が雇用する外国人社員の日本語力が低下していることが課題となっていることが指摘された。

日本語教育は日本で就労する外国人にとって重要なコミュニケーション・ツールだが、この日の議論では、技能実習生の保険適用や妊娠時の強制帰国などに話が及ぶと、論点は言葉の問題から「外国人の受け入れの在り方」に発展した。
これについて司会役の馳浩事務局長は「(議論が)外れているようだが、実はそうではない。生活する中で妊娠もすれば病気もする。人生設計もあるだろう。そういう人たちを技能実習生として受け入れている以上、安心して業務に取り組めるようにするための日本語教育という理解の仕方も必要だ」と述べた。日本語教育を議論すれば、外国人受け入れの包括的な議論にならざるをえない、との考えだ。

また、第2回総会で講師を務めた日本語教育学会会長で東京外大教授の伊東祐郎氏が来年1月31日に愛知県豊橋市で開く外国人集住都市会議で基調講演を行うことが報告された。

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