日本語教育機関認定法が成立 施行は来年4月 認定日本語教育機関、国家資格の登録日本語教員が誕生へ

日本語教育機関認定法が成立 施行は来年4月 認定日本語教育機関、国家資格の登録日本語教員が誕生へ

参院本会議で5月26日、日本語学校の教育内容や施設などを国が認定する新たな制度を定めた日本語教育機関認定法(正式名称・日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法)が成立した。来年4月に施行される。様々な議論を得て留学性受け入れの窓口となる日本語学校が大きく生まれ変わる。

日本語教育機関認定法によりまず大きく変わるのは、教育内容や施設などについて一定の要件を満たした日本語学校に対して、国が「認定日本語教育機関」としてお墨付きを与えること。これにより日本語教育機関は公的な機関となり、政府はインターネットを通して海外に認定した日本語教育機関を公表し、情報発進する。

日本語学校は、アルバイトを主目的にした留学生を受け入れてきた学校が一部にあるなど、世論の批判を浴びてきた。政府は同法の施行を受けてこうした事態を是正し、日本語教育の適正化を図る意向だ。政府の「認定」を受けない日本語教育機関は、事実上外国人留学を受け入れられなくなる。

認定日本語教育機関が公的な機関になることで、教員の質を高めることも大きな課題となる。そのために「登録日本語教員」の制度を設ける。日本語教員の国家試験を実施し、一定水準以上の能力の教員をふるいにかけるのが目的だが、国家資格を付与することで日本語教員の社会的な地位を高めることも狙っている。さらに登録日本語教員は実践研修を受けさせることで、教員としての能力を高めることにしている。

今後は、制度を実施するための国家試験と実践研修の仕組みの創設が課題となる。それを実施する適正な機関の整備や運営の在り方について、日本語教育機関の業界団体などから意見を聞きながら整備することになるとみられる。認定法は来年4月に施行され、政府はただちに準備作業に取り組み、早急に新たな制度を構築したいとしているが、実際に始まるまでには3年程度の経過措置が必要なるとの見方もある。

また、一般的に使われている「日本語学校」という呼称も「日本語教育機関」に移行させるとみられる。「学校」が学校教育法に基づく機関で、日本語学校は法的には「学校」ではない。文化省が主導する日本語教育では「日本語教育機関」「日本語教員」という呼称が一般化されるとみられる。

なお、日本語教育機関認定法の全文は下記PDFで見られます。

日本語教育機関認定法の全文

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