中国人の日本語作文コンクール最優秀賞者を囲む懇談会

第14回中国人の日本語作文コンクール(日本僑報社・日中交流研究所主催)で最優秀賞(日本大使賞)に選ばれた復旦大学の黄安琪(こう・あんき)が来日し、2月26日、衆院第二議員会館で黄さんを囲む懇談会が開かれた。

「流暢な日本語で挨拶する黄さん(左は近藤議員、右は西田議員)」

コンクールの今回のテーマは「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」「日本の『中国語の日』に私ができること」「心に残る、先生のあの言葉」の3つ。前回を約250点上回る計4288点の応募があり、黄さんは「新たらしい魅力」のテーマに応募し、「車椅子で、東京オリンピックに行く!」と題した作文で、最優秀賞を受賞した。

黄さんの作品は、2008年の北京五輪を前にして交通事故にあい、車椅子の生活を余儀なくされた祖母を東京オリンピックに連れて行きたいという話。黄さんは短期交流プログラムで京都に留学してバスが車椅子のお客さんに丁寧に対応している光景を見て感激。そこに日本の魅力を見つけ、「おばあちゃんを東京へ連れて行くよ、車椅子で」と書いた。

囲む会には、日中友好団体やメディア関係者が出席したほか、日中友好議員連盟幹事長の近藤昭一衆院議員(立憲民主党)や、西田実仁参院議員(公明党)、伊佐進一衆院議員(同)が駆けつけ、黄さんにお祝いの言葉を贈った。

黄さんが日本語を勉強したのは、大学に入学してから。わずか3年半の短い期間でしゃべるだけでなく、極めてレベルの高い文章を書くまで日本語が上達した。この間、短期留学で京都に5カ月間滞在。作文の題材になった車椅子の人を乗せるバスを目の当たりにした。中国の作家、思想家でもある魯迅の作品を通じて日本文化が触れ、芥川龍之介や川端康成の作品に親しんでいる。また。黄さんは日本語以上に英語が上手だという。

黄さんはよどみのない日本語で受賞の喜びを語るとともに、「私の作文の中心は日本の進んだバリアフリーですが、私の目から見た日本の魅力はまだたくさんあります。日本ではまもなくオリンピックが開催されます。私は中国の若者として日中友好のために何ができるのかを考えています。日中友好の懸け橋として活躍できるよう頑張ります」と述べた。

また、黄さんは懇談会の途中、一時席を離れて自民党の二階俊博幹事長を訪れた。親中派議員として知られる二階幹事長は黄さんを歓迎し、「あなたのような優秀な若者がもっと日本に来て、日本をみてほしい」と語ったという。

 

復旦大学のある上海では、学生がインターンネットで勉強するなどして日本語のレベルが年々アップ。日本語のスピーチコンテストや作文コンクールだけでなく、プレゼンテーションやでディベートのコンテストも開かれているという。

最優秀賞をはじめ一等賞から3等賞までの計81点は「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力――見た・聞いた・書いた、新鮮ニッポン」と題した作品集に収録。日本僑報社が出版、販売している。

http://duan.jp/item/267.html

にほんごぷらっと編集部にほんごぷらっと編集部

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の編集部チームが更新しています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

6月
28
終日 第34回小出記念 日本語教育学会 年... @ オンライン
第34回小出記念 日本語教育学会 年... @ オンライン
6月 28 終日
開催日:2025年6月28日(土) ・場所:オンライン(Zoom) ・予定(日本時間): 9:40-10:10 会員総会 10:20-10:30 開会・プログラム説明 10:30-12:20 講演   「対話を通した学習者オートノミーおよびウェルビーイングの促進」 講師:加藤聡子氏(神田外語大学 学習者オートノミー教育研究所 特任准教授) 13:20-16:50 口頭発表 16:55-17:10 総括 ・参加費:会員無料・非会員2000円(発表者以外の参加申し込み方法は5月下旬にお知らせします)
7月
5
終日 日本語ジェンダー学会 第25回年次... @ 実践女子大学(渋谷キャンパス)
日本語ジェンダー学会 第25回年次... @ 実践女子大学(渋谷キャンパス)
7月 5 終日
第25回年次大会 研究発表募集要項 2025年7月5日(土)に実践女子大学(渋谷キャンパス)にて開催される、第25回年次大会での研究発表を募集します。以下の要領でお申込みください。  発表資格: 研究代表者=当日の発表者は、応募および発表時点で当学会の会員である必要があります。会員登録は、当学会事務局で随時受け付けておりますので、応募時までに会員登録をお済ませください。 会員登録はこちら新しいウィンドウで開きますからお願いします。 なお、研究代表者以外の連名者は、会員・非会員は問いませんが、採択された場合、後日の参加申込みは連名者も含み全員にしていただきます。 発表内容: 言語(特に日本語)・言語による作品・言説・発話・言語使用状況・言語使用環境等をジェンダーの観点から論じた内容を含む未発表のもの(発表内容は、大会テーマに関わるもの or 関わらないもの、どちらでもよい) → 大会テーマ「メディア・ことば・ジェンダー」 発表言語と時間: 日本語で30分(口頭発表20分+質疑応答10分)以内  申し込み期間: 2025年3月3日(月)–  5月7日(水)24:00 (JST) 申し込み方法: 当学会のウェブサイト上の「研究発表申込み書新しいウィンドウで開きます」をダウンロードして、研究者名、発表タイトル、発表概要(1000-1500文字)などを記入してアップロードする。 → 3月3日(月)以後に、こちら新しいウィンドウで開きますにアップロードしてください。 可否通知: 審査後5月16日(金)までに研究発表担当の実行委員からご本人に結果を通知します。場合によっては、一定の条件や修正への要求が提示される場合があります。 予稿集原稿: 採択された方は、6月6日(金)24:00までに予稿集に掲載する発表要旨を日本語で執筆してください。場合によっては、修正や加筆をお願いする場合があります。執筆要項は可否通知の際にお知らせします。 ★二重投稿や剽窃などの不適切な原稿に関しては厳しく対処致しますので、研究者としての良識をもってご執筆ください。 以上.
7月
12
終日 言語科学会 第26回年次国際大会(J... @ 愛媛大学 城北キャンパス
言語科学会 第26回年次国際大会(J... @ 愛媛大学 城北キャンパス
7月 12 – 7月 13 終日
言語科学会第 26 回年次国際大会(JSLS2025)開催・研究発表募集のご案内 言語科学会 (JSLS: The Japanese Society for Language Sciences) では以下の要領で、 第 26回年次国際大会 (JSLS2025) を開催いたします。 大会日程: 2025 年 7 月 12 日(土)~ 13 日(日) 開催場所: 愛媛大学 城北キャンパス(愛媛県松山市文京町 3) 大会ウェブサイト: http://www.jslsconference.jpn.org/jsls2025/ 基調講演: Jae DiBello Takeuchi 氏 (Indiana University Bloomington)
8月
7
10:00 AM 令和7年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和7年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
8月 7 @ 10:00 AM – 8月 8 @ 4:30 PM
日本語学校教育研究大会では、各日本語教育機関における実践・事例の報告の機会として、発表の場を設けています。 意見・アイディア交換の場としてぜひご活用ください。 皆様からのご応募お待ちしております。

注目の記事

  1. 移民政策の先駆者・故坂中英徳さんを偲んで 第三話 坂中論文 在日コリアンに関心の…
  2. ロサンゼルスの英字紙編集長から「LA大火から1か月」のレポート 岩手県大船渡市の山林火災で大き…
  3. 「多文化ビジネス」に挑戦する株インバウンドジャパン 外国人向けの不動産事業で成功 在留外国人が…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate