日本語支援など1万人——外国籍児童ら 全国の学校で 毎日新聞が報道

日本語支援など1万人——外国籍児童ら 全国の学校で 毎日新聞が報道

毎日新聞が5月5日の朝刊の1面トップで「日本語支援なし1万人——外国籍児ら 全国の学校で」の見出しの記事を掲載、これを受けて社会面では「外国籍児支援届かず――進む多国籍化 指導者不足」と報じた。外国人労働者の受け入れ拡大で外国籍の児童生徒が今後も増えることが予想されるが、その対策が不十分であることが浮き彫りとなった。

文部科学省の2016年の調査では、日本語教育が必要な児童生徒は全国の8396校に4万3947人いる。2年前の調査に比べて3684人増えた。毎日新聞の文科省への情報公開請求では、こうした外国籍の児童生徒が全都道府県にいることが判明した。また、無支援状態の児童生徒が、外国人の集住する一部の都市だけでなく全国に広がっていることもわかった。

日本語教育が必要な児童生徒のうち、3万3547人は特別に配置された教員(加配教員)や非常勤教員、ボランティアから指導を受けていたが、24%にあたる1万400人は無支援の状態だった。加配教員が不足していることが大きな原因とみられる。また、1校あたり外国籍児らが「5人未満」の学校が7割以上もあり、対策が追いついていないのが現状だ。離島を抱える地域や、広い地域に対象の児童らが散在しているケースなどでは、コスト面からも簡単に支援ができないという。

こうした外国籍児らの日本語支援に関して、ネットでは賛否の声が混在する。「ニューヨーク近郊で移民が多いような地域では現地校で(無料の英語教育の)ESLプログラムなどで子供たちが英語のレッスンを受ける機会があります。教育の人件費などは税金が原資です」と米国の言語教育を紹介する声があった。

また「日本語少なくとも現状維持、できれば発展していくには外国人労働者は絶対に必要であり、彼らにむしろ選んでもらえるように国になる必要がある。そのための教育システムは日本語今後備えるべき急務の課題なのだ」という意見もあった。

これに対し「これ以上『日本国民』に負担を強いることは止めさせてほしい」「日本語ができないのであれば、どうぞ母国にお帰り下さい」「外国籍なら自費で語学学校に通わせればいいのではないか」など、支援に否定的な意見も少なくなかった。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を決断した以上、国民のコンセンサスを得るための努力も行うべきだろう。

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12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
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12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
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10:00 AM 令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
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令和6年度日本語学校教育研究大会 1 開催日時 本大会 2024年8月5日(月)10:00~16:45 8月6日(火)10:00~16:15 ポストセッション 2024年8月23日(金)19:30~21:00 2 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 3 参加方法 会場参加:8/5、6は会場参加。後日一部プログラムのアーカイブ配信視聴可。8/23ポストセッションに参加可。 オンライン参加:一部プログラムのライブ配信・後日アーカイブ配信を視聴可。8/23ポストセッションに参加可。 3 応募締切:2024年7月24日(水) 4 詳細、申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3163&f=news 「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」施行に伴い、各校においては教育理念や到達目標、評価方法、および教育・学習内容等の見直しを進められていることと存じますが、認定されることがゴールではなく、その先を見据えて、自分たちの教育、および学校全体を見直し、リニューアルすることが大事なのではないでしょうか。 今回は、大会のテーマを「これからの新しい日本語学校の話をしよう」とし、プログラムを企画しました。 日本語学校教育に興味・関心をお持ちの方ならどなたでもご参加いただけます。 皆様のご参加お待ちしております。 【8/5】 講演「日本語教育機関の認定と登録日本語教員について」 (文部科学省総合教育政策局日本語教育課) 講演「技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況と育成就労制度の創設について」 新井靖久(出入国在留管理庁政策課 課長補佐) 講演「『逆向き設計』論に基づくカリキュラム設計-より良い教育評価を目指して」 奥村好美(京都大学 教育学研究科 教育学環専攻教育・人間科学講座准教授) パネルディスカッション 加藤早苗(インターカルト日本語学校 校長)亀田美保(大阪YMCA日本語教育センター センター長) 山本弘子(カイ日本語スクール 代表) 【8/6】 分科会Ⅰ「大学との教育連携を考える~送り出し側と受け入れ側の視点~」 分科会Ⅱ「自ら学び続けるために~学習者と教師のオートノミー~」 義永美央子(大阪大学 国際教育交流センター 教授) 分科会Ⅲ「モジュールボックスを使って学習活動と評価を考えよう!」 自由研究発表・ポスター発表・デモンストレーション・トーキングショップ 協賛団体紹介ブース 【8/23】 ポストセッション(オンライン交流イベント) 〔問い合わせ先〕一般財団法人日本語教育振興協会 事業部 小野寺陽子 TEL:03-6380-6557 FAX:03-6380-6587 E-mail: nisshinkyo2@gmail.com
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母語・継承語・バイリンガル教育(... @ オンライン(ZOOM)
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