日本語議連の総会 コロナ禍で四苦八苦する日本語学校が支援を要請

日本語議連の総会 コロナ禍で四苦八苦する日本語学校が支援を要請

超党派の日本語教育推進議員連盟(河村建夫会長)が4月22日、衆院第2議員会館ホールで第14回総会を開いた。文化庁が検討中の日本語教師の国家資格創設を主たるテーマとしたが、コロナ禍で留学生の入国規制が長期にわたり、経営難に陥っている日本語学校の関係団体が支援を求める要望書を議連に提出し、さながら「日本語教育の緊急事態」を訴える場となった。

総会は午後6時から開かれた。国会の会期中とあって各種委員会や党の打ち合わせなどスケジュールが立て込み、初の「夜間の総会」となった。総会には文化庁、入管庁等8省庁から15人の担当者が出席。また、日本語教育学会、日本語教育振興協会(日振協)など日本語学校などの関係6団体の代表らも参加した。

総会ではまず文化庁国語課から「日本語教師の資格及び日本語教育機関の類型化について」の検討状況の報告があった。本来なら日本語学校にとって極めて重要な課題だが、この日はコロナ禍における留学生の受け入れ規制の緩和や支援に関して議論が集中した。

日本語学校側の説明によれば、2019年は大学や専門学校に進学後約6万人の日本語学校留学生が在籍したが 、2020年には入国規制によって半減。今年に入ってからさらに状況が悪化しているという。閉鎖や倒産に追い込まれる日本語学校が相次ぐのではとの深刻な懸念の声も出ている。その影響は留学生が進学する専門学校や大学にも及んでいる。

これに対し入管庁、外務省などの関係省庁からの発言があったが、いずれも「入国規制の緩和の見通しを述べるのは困難」などの内容。東京や大阪など関西に緊急事態宣言を出すことを決定するなど緊迫した状況の中で、政府としてまずはコロナウイルス感染拡大を食い止めることに全力を挙げているとの現状を説明するのにとどまった。

日本語学校側からは窮状を訴えるとともに「日本語教育機関への支援と留学生の入国制限の早期緩和について」と題した要望書を河村会長、中川正春会長代行に手渡した。これを受けて日本語議連側は馳浩事務局長が「(日本語学校が)座して死を待つわけにはいかない。超党派の議連として大臣レベルに要望を伝えたい」と述べ、対応を河村会長、中川正春会長代行に一任することを提案。河村会長は「切実な要望はよく理解できます」、中川会長代行は「日本語学校を所管する部門がこれまでなかったことがこのような事態となった。存亡の危機にある業界に対してこの際、支援プログラムを作っていくという思いで対応していきたい」と述べた。

なお、第4回総会の議論は別途、動画でご傍聴いただけます。
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