日本語教師の国家資格創設の報告書を了承 山積する課題をどう解決? 第9回日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議

日本語教師の国家資格創設の報告書を了承 山積する課題をどう解決? 第9回日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議

文化庁は7月29日、第9回日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議(西原鈴子座長、以下・協力者会議)を開催し、最終の報告書について了承を取り付けた。パブリックコメントの募集などを経てさらに微修正される可能性もあるが、最終報告がまとまったことで法案作成に向けての作業は一歩前進したことになる。関係法案は来年の通常国会に提出される見通しで、文化庁は2024年以降に国家資格取得のための試験を全面施行させたいとしている。以下はこの日提示された最終報告のURL(赤字は前回の意見を踏まえて修正された部分)。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/93269501_01.pdf

協力者会議は2020年7月に設置された。日本語教育推進法の制定を受けて日本語教師のレベルの向上を目指し、国家資格の在り方について意見を聴取してきた。計9回のこれまでの会議では、文化審議会国語分科会がまとめた「日本語教師の資格の在り方について」の報告書をたたき台にして国家資格の公認日本語教師の受験資格などを議論した。また、国家資格創設の環境整備として日本語教育機関の類型化についても検討した。

協力者会議の事務局を担当した文化庁国語課は、文化審議会国語分科会の報告書づくりに携わった経緯がある。その知見を踏まえ5月の第6回協力者会議で報告案の骨子が示され、その後の3回にわたって様々な角度から有識者の意見を聞き、内容に修正を加えてきた。

日本語教師の国家資格(公認日本語教師)は名称独占の資格だ。医師や看護師、弁護士などは高い専門性を持つ業務独占の国家資格で、資格を取得しないと仕事ができないが、名称独占の資格は、必ずしも資格を取得しなくても仕事に就くことはできる。ただ、資格を名刺に肩書として活用するなどして権威付けすることは可能だ。日本語学校で公認日本語教師でない先生が教壇に立っても何ら問題はない。

名称独占の国家資格は、社会福祉士や介護福祉士、保健師など福祉系のほか、印刷技能士、金属製作技能士など技能系が多い。その数は170を超え、資格を取得するための試験に受験資格がないケースも少なくない。

 

日本語教師の資格については、文化審議会国語分科会がまとめた報告書では、資格の取得について「判定試験の合格」「教育実習の履修・修了」「学士以上の学位」――の3条件を挙げた。これに対し協力者会議では試験は文部科学省か同省が指定する実施機関が担当し、試験は筆記試験①(基礎的な知識を測定)と筆記試験②(基礎的な問題解決能力を測定)を実施。試験は年1回以上、全国各地で行われる。受験の要件は特に設けないため、「学士以上の学位」は条件とされない。教育実習については、現職の日本語学校の教師などについては、筆記試験①と教育実習は免除するとした。

こうした「ハードル」を下げることに対しては、協力者会議の委員の間から強い異論もあったが、日本語学校の業界団体や地域の日本語教師などの現場からの強い要望を受けて、事務局案を反映させた格好だ。

日本語教育機関の類型化については、日本語教育機関における日本語教師の職務の範囲があいまいだ――などと法制局から指摘を受けて報告書に盛り込んだという。とはいえ「留学」「就労」「生活」の3つに類型化したものの、それぞれのボーダーラインを明確に引くことまで議論は深化しなかった。「留学」については、一定程度の詰めはあったものの、「就労」「生活」の議論は生煮えだったと言わざるを得ない。

文化庁は、第9回の協力者会議でとりまとめた報告書を委員のからの意見を踏まえて一部修正。その後にパブリックコメントを通じて一般からの意見を受けて最終報告を確定する。それをもとに法案を作成するが、問題はそれをどのような方策でどう具体化するのかだ。残された課題は少なくない。

まずは試験の実施機関をどのように立ち上げるか。第3者機関に文科省が委託する方策が現実的だが、作問や採点、合否判定には日本語教育の知見を含め専門家の能力が必要だ。どのような組織を構築するのか。その計画の策定にもそれなりの時間がかかりそうだ。

類型化の問題でいえば、関係府省との連携や調整も不可欠の作業となる。今回の報告書では日本語教育機関の範囲を「専ら日本語教育機関とする。なお、大学の別科やその他の日本語教育を行う機関については、個別に必要性に応じて段階的に検討する」との考えを示した。

要するに文科省が所管する「学校教育」は別扱いということだ。「就労」の日本語教育は厚労省との関係が出てくるし、「生活」に関係する日本語教育は総務省・地方自治体と関係を抜きには語れない。

菅内閣はデジタル庁の創設などを通じて省庁の壁に風穴を開けたいというが、日本語教育の問題では、文科省本省と外局である文化庁の間でそのように調整するのか。今回の報告書は日本語教育の推進に向けて第一歩を踏み出す姿を示すとともに、いくつかの課題も映し出している。

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12:00 AM 令和7年度 文部科学省委託 主任教... @ オンライン+いずれかの対面研修会場(東京会場:国立オリンピック記念青少年総合センター/大阪会場:関西研修センター(KKC)/福岡会場:リファレンス駅東ビル貸会議室)
令和7年度 文部科学省委託 主任教... @ オンライン+いずれかの対面研修会場(東京会場:国立オリンピック記念青少年総合センター/大阪会場:関西研修センター(KKC)/福岡会場:リファレンス駅東ビル貸会議室)
8月 29 2025 @ 12:00 AM – 1月 8 2026 @ 12:00 AM
令和7年度 文部科学省委託 主任教員研修 @ オンライン+いずれかの対面研修会場(東京会場:国立オリンピック記念青少年総合センター/大阪会場:関西研修センター(KKC)/福岡会場:リファレンス駅東ビル貸会議室) | 東京都 | 日本
一般財団法人日本語教育振興協会は標記研修を開催いたします。 昨年度に引き続き、より質の高い研修成果を求めて、研修の核となる2日間の集合研修を東京会場、大阪会場、福岡会場で全て対面にて実施することにいたしました。特に、東京会場は国立オリンピック記念青少年総合センターに宿泊して研修を行うので、研修に参加した仲間や講師との絆がより一層深まることを期待しております。もちろん、どちらの会場での研修も日本全国からご参加いただけます。 加えて、オンデマンドによる事前学習を多く取り入れるなど、集合研修での成果をより高めるための工夫がされております。さらに、各参加者が自校の教育の質向上のための取り組みを発表する機会を作り、より質の高いフィードバックが得られるように集合研修後のフォローアップも強化するなど、より密度の濃い研修プログラムとなっております。 受講希望者におかれましては、7月28日(月)までに,所定の応募方法にて,ご応募くださるようお 願いいたします。 また、当協会の主任教員研修は告示校を対象としているため、たとえ常勤3年以上の経歴を有していても認定校・告示校の教員(認定日本語教育機関の審査申請済みの教育機関(新規開校含む)に所属する主任教員を含む)でない限り研修の対象とはなりません。 《令和7年度 主任教員研修の特徴》 ︎「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」の成立により、ますます注目が集まる「日本語教育の参照枠」や「日本語教師の人材育成」について理解を深める事ができる ︎ 現場の“今”を意識した研修プログラムにより、過去の研修受講者が再度受講しても満足できる研修である ︎ グループワークでは経験別や所属学校の属性別のグループを構成することにより、多様な受講者の満足度を保証する 《令和7年度 主任教員研修のねらい》 ◆「日本語教育の参照枠」に基づく学習成果の評価と手法を理解し、実践に活かす力を養う ◆ 人材育成の目的や考え方を知り、自校が求める教員像に近づけるための育成方法を考え実践する ◆ 今の悩みを共有できる仲間や、相談できる先輩とのネットワークを獲得する 《研修について》 ◆研修期間  2025年8月29日(金)~2026年1月8日(木)まで       ※7月29日~8月25日まで事前課題への取り組みがあります       ※研修の詳細な日程については当協会のホームページよりご確認ください ◆開催場所 オンライン(Zoom)+下記いずれかの会場       【東京会場】国立オリンピック記念青少年総合センター       【大阪会場】関西研修センター(KKC)       【福岡会場】リファレンス駅東ビル貸会議室 ◆定員 108名(会場定員:東京会場54名/大阪会場36名/福岡会場18名) ◆参加資格 以下の(1)〜(3)のいずれかの条件を満たす方  (1) 認定校・告示校の主任教員  (2) 認定校・告示校で 3 年以上の常勤教員経験を有する主任教員予定者  (3) 認定申請済機関の主任教員 ◆参加要件 ・研修の全日程に参加できる方 ※参加決定後の会場変更は不可 ・オンライン集合研修において、静かで研修に集中できる環境から参加できる方 ・インターネット環境が整っており、PC で研修に参加できる方  ※スマホやタブレットからの参加は不可 ・自校にて実際に課題改善を行い、その取り組みを発表し、研修レポートとして提出できる方 ◆受講料 30,000円(消費税込)      ※東京会場参加者については、別途宿泊費及び食費等(20,000 円程度)が発生します。       詳細な費用については、参加決定者に対して別途お知らせいたします。      ※大阪・福岡会場参加者については、交流会参加費が発生します。       詳細な費用については、参加決定者に別途お知らせいたします。 ◆詳細・申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3370&f=news          ★上記サイトに掲載されている開催案内をよくお読みいただきますようお願いいたします ◆応募締切 2025年7月28日(月) 〔問い合わせ先〕 一般財団法人日本語教育振興協会 主任教員研修担当 Eメール:shuninken@gmail.com TEL:03-6380-6557
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『とびら』シリーズ リニューアル... @ オンライン
1月 11 @ 10:00 AM – 11:30 AM
講師: 岡まゆみ先生、近藤純子先生、石川智先生、花井善朗先生、江森祥子先生、Kay Sabban様(Maruzen International) 日時: 2026年1月11日(日) 10:00 – 11:30 ■会場 オンライン(Zoom開催) ■日時 [日本]2026年1月11日(日) 10:00-11:30 AM [米国]2026年1月10日(土) 8:00-9:30 PM (EST) / 7:00-8:30 PM (CST) / 5:00-6:30 PM (PST) 2週間のアーカイブ視聴も予定 ※申込者のみ/一部の内容を省略する場合があります ■参加費 無料 ■要事前申込
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16
4:00 PM 村田真先生: 文書に構造を持たせる... @ オンライン
村田真先生: 文書に構造を持たせる... @ オンライン
1月 16 @ 4:00 PM – 5:30 PM
私たちは、いま当たり前のようにスマートフォン、タブレット、PCといったさまざまな画面で文書を読んでいます。 しかし、少し前まで文書は「紙に印刷したときの見た目」が前提でした。この前提が崩れたことで、文書の作り方そのものが大きく変わっています。 本講演では、SGML や XML から始まり、EPUB、OOXML、Markdown などへと広がってきた文書技術の流れを背景に、なぜ「構造を持った文書」という考え方がいま当たり前になったのかを振り返ります。 特定の技術や形式を解説・比較する講演ではありません。長年文書技術に関わってきた立場から、うまくいかなかったこと、割り切らざるを得なかったこと、そして結果として時代の要請に合ってしまったことを、少し距離を取って整理します。 文書技術の歴史に詳しくなくても参加できますが、「なぜ今こうなっているのか」を一段深いところから考えてみたい方に向けた内容です。 (JEPAは今年40周年を迎えます。20本ほどの記念セミナーを予定しており、そのトップバッターとして、ご講演いただきます。) ■講師 村田真先生 東日本国際大学客員教授 EPUB日本語拡張仕様の技術責任者、文字情報技術促進協議会副会長、慶應義塾大学特任教授などを歴任。 日本電子出版協会(JEPA)CTO。 情報アクセシビリティ機構 代表社員 note ■ 開催概要 日時:2026年1月16日(金) 16時-17時半 料金:どなたでも無料 会場:オンライン YouTube Live(定員ナシ)またはZoom(100名) 主催:日本電子出版協会(JEPA)

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