外国人支援・多文化共生ネットが令和3年度の活動報告会 就学前の行政サービスの在り方は?

外国人支援・多文化共生ネットが令和3年度の活動報告会 就学前の行政サービスの在り方は?

愛知、三重、岐阜3県の外国人支援団体で構成する「外国人支援・多文化共生ネット(通称、ガイタネット)」(代表・坂本久海子愛伝舎理事長)が3月16日、令和3年度の活動報告会をオンラインで開催した。コロナ禍で外国人支援の活動も様々な制約を受けたが、研究者との連携によって外国人家族の妊娠期から就学前の行政サービスに関する調査を実施、その中間まとめが報告された。

ガイタネットは名古屋入管が協力する形で2019年7月に発足。参加団体は当初9団体から12団体に増えた。政府内で多文化共生の施策の調整役を担う入管庁とパイプを持つことで、外国人支援の現場の声を行政の施策により反映させるのが目的だ。

新型コロナウイルスの感染拡大でこの2年間、十分な活動ができなかったが、外国人も厳しい暮らしを強いられ、それに対して団体側はそれぞれ工夫を凝らした活動に取り組んだ。

その一つとして、この日は東洋大学の内田千春教授らの研究グループと連携し外国人女性の妊娠から出産、就学前の子育てに関する行政サービスの調査について、その中間まとめが報告された。

調査対象は、11市2区の13の自治体とそこに住む外国人保護者、ガイタネットの支援団体。外国人住民や支援者がどのように行政サービスを活用してきたのか。外国人住民が妊娠、出産、就学前の子供のケアに関するどの程度情報を得ているのか。内田教授はトヨタ財団の助成事業を通じて外国人住民、自治体、ガイタネットの団体から聞きとりを行うなどして実態を調査した。

内田教授の報告によると、外国人の保護者は子供の言語の発達が遅いことを気にしない傾向がある。外国人団体は日本語力ゼロの保護者の対応に苦慮している。病院での外国人のサポートに関しては、外国人を雇用する企業との連携があるとサポートがしやすいという。最近、来日したベトナム人やスリランカ人はコミュニティーが形成されていないので、孤独感を招きやすいことなども報告された。また、12団体がそれぞれの活動内容を具体的に報告した。

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