東京福祉大の不明留学生1610人 文科、入管が学部研究生の留学停止の〝処分〟

東京福祉大の不明留学生1610人 文科、入管が学部研究生の留学停止の〝処分〟

多数の不明留学生を出した東京福祉大について、文部科学省と出入国在留管理庁は6月11日、2016年度から18年度にかけ計1610人の留学生の所在が不明だったと発表した。また、多数の所在不明者、不法残留者を出した同大学の責任は重大だとして、学部研究生への留学生受け入れを停止する〝処分〟を課した。

調べでは、所在不明の留学生は2016年度305人、17年度482人、18年度823人で、16年度から大量の所在不明者を出していた。留学生に対する在籍管理が極めてズサンだったのに加え、入学者の選考も不適切だった。学部研究生の入学選考では、日本語能力試験N2相当のレベルが必要なのにN3以下の学生が多数いた。また、欠席者や出席率の低い学生が数多く存在した。

問題を起こした背景として、両省庁は①留学生の受け入れ体制が脆弱②修学環境が不適切③留学生の受け入れ拡大に関する意思決定プロセスが不透明ーーなどと指摘した。今回の事態を受けて文部科学省としては、新規の学部研究生の受け入れを見合わせるよう指導するとともに、私学助成金の減額・不交付を検討する意向だ。入管庁としては在留資格「留学」を交付しないという。柴山昌彦文科相は「的確な把握が遅れてしまい、必要な対応を逸してしまった」と述べ、他の大学でも似たような事態がないか調査する意向を示した。

今回の東京福祉大の事案は、留学生受け入れではかつてない規模の不祥事だ。しかも文科省が所管する大学で起きた。このため文科省、入管庁は事態を重視し、留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針をまとめた。文科省は各大学などに在籍管理状況の調査を求め、在籍管理が不適正な場合は改善指導を行うとし、改善が見られない場合は「在籍管理非適正大学」として法務省に通告。入管庁は「非適正大学」や不法残留者を多く出すなどして3年連続で「慎重審査対象校」とされた大学などには、「留学」の交付を停止する。

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12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
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令和6年度生活指導担当者(中堅)... @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
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令和6年度生活指導担当者(中堅)研修 当協会では、日本語教育機関における生活指導担当者の能力向上を図るため、標記研修を実施しております。 今年度におきましても下記により実施しますのでご案内申し上げます。 なお、令和7年2月頃に初任の生活指導担当者を対象にした研修を実施予定です。 皆様のご参加お待ちしております。 1 日時 令和6年10月25日(金)10:00~17:20 2 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 3 参加要件 日本語教育機関又は大学・専門学校等教育機関の現場において、 少なくとも3年程度実際に留学生の生活指導に携わっていること。 4 参加費 維持会員機関 8,800円(税込)/1人当たり その他の教育機関  17,600円(税込)/1人当たり 5 応募締切:令和6年9月27日(金) 6 詳細、申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3193&f=news 〔問い合わせ先〕一般財団法人日本語教育振興協会 事業部 小野寺陽子 TEL:03-6380-6557 FAX:03-6380-6587 E-mail: nisshinkyo2@gmail.com
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終日 2024年度 日本語教育学会_秋季大会 @ 姫路市市民会館(兵庫県)
2024年度 日本語教育学会_秋季大会 @ 姫路市市民会館(兵庫県)
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