愛伝舎創立20周年シンポ(その二)<坂本理事長がその歩みを振り返る>
- 2025/8/29
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愛伝舎創立20周年シンポ(その二)<坂本理事長がその歩みを振り返る>
愛伝舎の坂本久海子理事長はシンポの冒頭、愛伝舎の20年に歩みを振り返り、様々な事業や取り組みを説明した。その発言の要旨は以下の通り。
愛伝舎の活動の原点は、1990年代にブラジルで過ごした経験にあります。帰国後、「次の世代のために何ができるか」と考え、地域社会と外国人の架け橋となることを使命に、NPOを設立いたしました。
三重県では現在、総人口約175万人のうち外国人は3.1%を占めています。特に20代では12.7%に達し、若い働き手として重要な存在となっています。しかし一方で、住宅や教育、医療といった社会基盤の整備が追いつかない現実があり、大きな課題として私たちの前に立ちはだかっています。
設立当初は、日本でも先駆的だった電話通訳サービスを開始しました。その後、リーマンショックを契機に、外国人の新たな就労分野を広げようと介護分野に取り組み、125人が介護ヘルパー2級を取得する成果につなげました。生活面では、交通ルールやごみの分別、図書館の利用方法など、日本社会での暮らしに欠かせない情報を丁寧に伝えてきました。コロナ禍には鈴鹿市の市営住宅を一軒一軒訪ね、ワクチン接種を呼びかけたり、最近では海上保安庁と協力して水難事故防止の説明会を開いたりと、現場に寄り添った活動を続けてきました。
また、課題を行政に届けることも私たちの重要な役割です。ポルトガル語による自動車免許試験の導入を求めるシンポジウムを開催するなど、現場の声を政策に反映させてきました。さらに、「外国人支援・多文化共生ネット」を立ち上げ、入管や行政、議員、医師などと連携できる体制を築いています。調査報告書を国や自治体に提出し、課題を共有することにも力を入れてきました。
教育と文化の分野でも歩みを進めてきました。かつて「夢の懸け橋奨学金」を7年間にわたり運営し、現在は三井物産の支援による新たな「ブラジル人大学生奨学金創設」事業が始まり、奨学生の支援を担っています。子どもたちの未来を広げる支援は、私たちにとって大きな柱です。また、お茶会や着付け体験、祭りへの参加などを通じて、地域の人々と外国人が楽しくつながる機会を大切にしてきました。
20周年を迎え、私たちは改めて、自らの役割が「人と人、組織をつなぐハブ」であることを実感しています。行政や企業、学校や地域の専門家、そして外国人コミュニティのリーダーたちと築いた信頼のネットワークは、団体にとってかけがえのない財産です。
これからは、日本で育ち、日本語や価値観を理解する第二世代の若者たちが社会で活躍できる場を広げていくことが重要です。彼らの存在は、労働力不足を補うだけでなく、国籍を超えた架け橋として地域や社会に新たな価値をもたらします。私たちは教育現場や企業と協力しながら、子どもたちやその保護者を支え、次世代へと支援が循環していく仕組みをつくり
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