衆院選圧勝―高市政権が日本語学校に課する「責務」とは? ~「語学教育の場」に求められるより高い管理能力~

衆院選圧勝―高市政権が日本語学校に課する「責務」とは? ~「語学教育の場」に求められるより高い管理能力~
衆院選で自民党が圧勝しました。高市政権が1月に打ち出した外国人政策は今後、どのように実践されるのか。スローガンの「秩序ある共生社会」は、日本社会のルールが遵守できる人材を厳選して受け入れるという強い意志を示したものです。これを受けて、日本語教育の実務を担う日本語教育機関(日本語学校)は、これまでない重い責任と、極めて高い「管理能力」が求められます。政府の担当者は政策実現を急ぐはずです。その外国人政策の主要な論点を整理し、日本語学校が直面する課題を考えます。
★ 留学生の在籍管理が「聖域なき厳格化」へ
高市政権の留学生政策における最大の変化は、教育機関に対する「共同責任」の要求です。閣議決定した「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、留学生の不法就労や資格外活動の超過に対し、日本語学校側の管理不備を厳しく問う方針が明文化されました。もはや「学生が勝手にやったこと」という言い訳は通用しません。
日本語教育機関認定法の本格運用に伴い、適切な在籍管理ができない学校は認定を取り消され、留学ビザの取次権を失う可能性があります。卒業後の特定活動や就労ビザへの移行において、出席率や納税状況、そして高度な日本語能力(N1/N2)が在留資格更新の「絶対条件」として機能し始めます。
日本語学校の経営者にとっては、教務と事務が一体となった「デジタル・コンプライアンス体制」の構築が、生き残りのための最低条件となります。今回の閣議決定により、マイナンバーを活用した入管・税務・自治体間のデータ連携が強化されます。
法令遵守の仕組みをデジタル化することによって、「逃げ場のない仕組み」ができ、法令を遵守しているかどうかを当局がデータに基づきリアルタイムで監視できるようになるわけです。
★働く外国人の日本語能力の「義務化」と企業負担
2027年の全面施行を控える外国人労働者の「育成就労制度」および「特定技能」においても、日本語教育は「あれば望ましいもの」から「なくてはならない」公的要件へと変質することになります。育成就労計画には、一定の日本語習得目標が含まれます。高市政権は、これを受け入れ企業や登録支援機関の義務として課す方針です。
高市政権は123万人の受け入れ枠の上限を設定しましたが、これは「いつでも蛇口を閉める」という意思表示でもあります。日本語教育の成果が上がらない分野や、社会保障費の未納が目立つ職種に対しては、受け入れ停止を含めた厳しい措置が予想されます。
日本語学校は、単に「留学生を受け入れる」のではなく、企業や監理団体と直接連携し、就労現場に即した教育プログラムを販売する新たなビジネスが法的に担保されます。認定法により「就労課程」を設置できるようになった今、それができる学校とできない学校が差別化される可能性は極めて高いといえます。
★ 生活者としての外国人の「処遇と責任」
最も注目すべきは、永住許可や帰化の審査要件に「日本語能力」と「社会制度の理解」を盛り込む方向性が示されたことです。外国人受入れの条件としてコミュニケーション能力が付加されるわけです。言葉はもはや文化交流の手段ではなく、日本で生きるための「公的な資格」となります。こちらの日本語教育のモデルづくりも新たな課題となります。
日本語学校には、新たな責任として「生活指導の教育化」が加えられます。 ゴミ出しや騒音問題、納税、年金。これら「日本のルール」を教えることが、日本語教師の職務領域として正式にカウントされるようになります。共生社会をつくるうえで、日本語学校はより重要な役割を担うことになり、社会的なステータスも大きくアップする可能性が大きいといえるでしょう。
★担うべきは「国家の秩序」そのもの
高市政権下の政策では、日本語学校は単なる「学校」ではありません。繰り返しになりますが、言葉を教えるだけの機関ではありません。ややオーバーな言い方をすれば、外国人が日本社会に適応できるか否かを判定し、育てる「国家インフラの門番」です。
人口減少時代の日本において、外国人の受け入れは重要かつ不可欠な施策です。しかし、「厳格化」が逆に外国人の権利を狭め、社会の不安や分断を招くものであってはなりません。高市政権に対してそうした懸念が外国人支援団体などから指摘されているのも事実です。
質の高い教育と節度ある管理を両立させ、提供すること。それこそが、「秩序ある共生社会」を実現するために欠かすことができない要素ではないでしょうか。日本語学校の関係者にとって、それは苦難を伴う新たなチャレンジですが、日本語学校の地位を向上させる大きなチャンスでもあるはずです。
にほんごぷらっと編集部
























