留学の在留資格交付率の「国別格差」から「国策」を考える

留学の在留資格交付率の「国別格差」から「国策」を考える

「これは国策ではないか?」――。どことなく怒りの感情がにじんだ、こんな言葉が発せられた。9月28日(金)、日本語教育振興協会で行われた東京入管による関東・甲信越地区の日本語教育機関122校を対象に行われた説明会。平成30年10月期生の在留資格認定証明書交付等に係る入管担当者の説明に対するある日本語学校の担当者からの質問だ。

その場で配布された東京入国管理局留学審査部門の資料によれば、日本語教育機関10月期生に係る在留資格認定証明書の交付状況は、国別にあまりに「格差」が鮮明だった。東京入管の申請受理件数が多い十数か国について比較してみると、交付率が高いのは、中国、韓国、台湾。いずれも交付率97%以上だ。これにベトナム(88%)、モンゴル(86.5%)が続く。

これに対し、交付率10%未満が4カ国ある。スリランカが2.7%(622件の申請受理のうち、17件が交付)、バングラデシュ3.4%、ウズベキスタン4.0%、ネパール8.4%という状況である。格差が一目瞭然だ。

これら4カ国は、過去3年間で、(留学の)在留資格の申請件数が著しく伸びているという特徴を持つ。そして、留学生の不法残留や不法就労の問題が頻繁に起きている国でもある。その結果、入管として、規制の対象とした、という推理が成り立つ。

しかしながら、これら4カ国の学生が在籍する日本語学校の中でも、不法残留や不法就労の問題が多発している学校と、そうでない学校と明確に分かれている。まじめに入管の指示、指導を守り、留学生を大切に育ててきた学校が少なからずあるのだ。

にもかかわらず、出身国をひと括りにして一律に「良し悪し」のレッテルを張ったのではないか。不法残留や不法就労の割合が一定以上の学校を対象に、(一般的な基準よりも)より高いハードルを設けたり、一時的に募集ができなくなる等といったペナルティを課したのではないか。

一律に規制を強化し、審査を厳格化するというのは、真面目に留学生募集を行い、法令を順守して留学生を受け入れてきた学校の努力を踏みにじることにならないか。とりわけ、4カ国の学生の割合が高い学校にとって、今回の措置は経営危機に直結するはずだ。悪質な学校に対する対応を厳しくする一方で、良質な学校までを危機的状況に追い込むことのマイナス面を入管はもう少し考えるべきではないか。

ところで、先の質問者は何をもって「これは国策ではないか?」と質問したのか。恐らく質問者は、4カ国を日本留学から遠ざけることをもって、「国策」と言いたのかったかもしれないが、果たしてそうか。筆者はそれに与しない。さすがに露骨すぎるし、外交的にも問題になるかもしれない。

政府の先の閣議決定では、来年4月から農業、介護、建設など5分野の新たな在留資格を設けることになっている。在留資格をさらに増やすことも検討しているという。政府は外国人労働者の受入れ・拡大に舵を切るのだ。新在留資格の労働者を2025年までに50万人超に持っていく、という野心的な目標をもっている。

日本はこれから在留外国人の急増時代を迎える。留学生受け入れの「選別策」はその前触れ、布石としての対応ではないか。私はそう推察している。ここで、改めて、4カ国の留学生に不法就労が多いことを考えると、政府は、これらの国の人達を新在留資格のメーンターゲットにしているという推論が成り立つ。新たな外国人労働者のリソースが留学希望者という事である。

アルバイトをしながら留学をしなくても、新在留資格で思う存分に働ける道があるよ、とサインを送る一方で、留学へのハードルを高める。政府の政策担当者の並々ならぬ決意としたたかな思惑が、今回の措置から垣間見えるような気がした。

とはいえ、留学生を支え真面目に経営努力をしている学校を潰していいわけはない。政府は法務省入管局を「入国在留管理庁」に格上げさせるという。より大きな権限と重い責任を負うことになるはずだ。当局の「見識」を信じたい。

ベン

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志の高い留学生を応援せずにはいられない都内の日本語学校関係者

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