子育て支援で外国人支援・多文化共生ネットが名古屋で報告会 名古屋入管、東海2県の自治体担当者らが参加

子育て支援で外国人支援・多文化共生ネットが名古屋で報告会 名古屋入管、東海2県の自治体担当者らが参加

外国人支援・多文化共生ネット(略称・がいたネット、代表・坂本久海子愛伝舎代表理事)が、4月20日に名古屋市のJICA中部センターで外国人の子育て支援に関するイベントを開催しました。このイベントは、トヨタ財団が支援する調査研究の報告会です。子ども家庭庁が4月に発足しましたが、だいたネットは行政に先行する形で外国人の子育て支援に取り組んでおり、イベントには名古屋入管と東海2県の自治体関係者も参加しました。

トヨタ財団が2020年度に実施した助成事業の調査研究は、「妊娠から乳幼児施策および外国人保護者の受け入れ状況の調査研究と啓発活動による出産子育てできる社会づくり」というテーマで、がいたネットに参加する三重、愛知、岐阜の外国人支援の8団体と2つの協力団体が計14地域で調査を実施しました。調査地域は名古屋市、一宮市、岡崎市、可児市、鈴鹿市などでした。この調査研究では、「言葉の壁」を抱えた外国人の妊婦や母親たちの様々な課題が明らかにされました。

すでにそれぞれの地域で個別に報告会が行われていましたが、この日は参加団体が一堂に会して開催されました。名古屋入管をはじめ、愛知、三重の両県や名古屋市、犬山市、豊田市、鈴鹿市、亀山市など約20人の行政担当者が報告に耳を傾けました。外国人の妊婦や母親に対する支援を本格的に取り組んでいる自治体はまだ少ないため、支援団体が主導する今回の調査研究は、今後の自治体側の取り組みの参考になると見られています。

報告会では、坂本代表が「子ども家庭庁の中でも、外国人の子どもの支援をどうぞ忘れないでくださいと、報告書の熱い思いを届けてきました」と述べ、子ども家庭庁にこの報告書を提出したことを明らかにしました。

このあと、内閣府政務官で子ども家庭庁担当の自見はなこ氏からビデオメッセージが寄せられ、この中で自見氏は「外国籍の子どもたちや、一生懸命に日本社会で頑張っている外国籍のお父さん、お母さんたちにしっかりとしたサービスを届けたい」と語りました。

また、報告書をまとめた東洋大学の内田千春教授が行政へのアンケート結果をはじめ、支援者や外国人の保護者などへのインタビューの概要などを紹介しました。ここで問題になったのは「言葉の壁」による情報の格差です。内田教授は「育児に関する情報を保障するのは翻訳ではなく、意味が通じる訳が必要です」と語り、子育ての知識を持った通訳を配置するよう呼び掛けました。続いて名古屋市北区、一宮市など地域の現場の調査結果を9団体が報告しました。

これを受けて行政側との意見交換が行われました。参加した担当者は、外国人の子育てに前向きに取り組んでいる自治体で、支援団体からは自治体が作成した多言語のパンフレットの翻訳が実践的出なく、「通じないものがある」などの指摘がありました。また名古屋入管に対しては、「外国人が日本に入国して必ず行くのが入管の窓口なので、入管として外国人が住むことになる地域の情報を伝えてほしい」との要望がありました。

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6月
12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
6月 12 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
6月
29
12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
6月 29 2024 @ 12:00 AM – 1月 31 2025 @ 12:00 AM
本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
7月
27
1:30 PM 凡人社日本語サロン研修会 『でき... @ 大阪会場TKP 大阪本町カンファレンスセンター
凡人社日本語サロン研修会 『でき... @ 大阪会場TKP 大阪本町カンファレンスセンター
7月 27 @ 1:30 PM – 4:00 PM
凡人社日本語サロン研修会 『できる日本語』ブラッシュアップ講座 ~課題に向き合い、仲間とともに,より良い実践をめざしませんか~   [日時・会場・定員] 全日:13:30~16:00(受付開始 13:00) ※各会場先着順、定員になり次第締め切ります     【日付】2024/7/27 (土) 【会場】大阪会場TKP 大阪本町カンファレンスセンター(大阪市中央区久太郎町3-5-19) 【定員】80名   【日付】2024/9/1 (日) 【会場】福岡会場博多バスターミナル(福岡市博多区博多中央街2) 【定員】60名   [対 象] 主に日本語学校の教師・関係者、日本語教育ボランティア、日本語教育に関心のある方   [参加費] 無料 ※要予約   [講 師] 嶋田 和子 先生(『できる日本語』監修) 他『できる日本語』著者の先生方   [内 容] 『できる日本語』の輪が広がり続け、「実践について学べる場がほしい」という声がたくさん寄せられています。 そこで、現在『できる日本語』を使っていらっしゃる方々に向けて、「ブラッシュアップ講座」を開くこととしました。 当日は、具体例を挙げながらより良い実践について考えていきます。 事前にお寄せいただいた質問の中から共通の課題を取り上げ、ご一緒に解決に向けて考えていきます。 また、すでにあちらこちらで【できる日本語ネットワーク】が生まれていますが、今回の対面講座で、さらに新たな輪が生まれることをめざします。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:アルク・凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井)   E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかQRコードかメールにてお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「日本語サロン研修会(●/●)@●●」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 ※●/●部分は開催日時と場所をご記入ください。   お申込みフォーム→https://x.gd/3kYVu
8月
5
10:00 AM 令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
8月 5 @ 10:00 AM – 8月 6 @ 4:30 PM
一般財団法人日本語教育振興協会では、日本語教育機関に勤務する教職員等のための「日本語学校教育研究大会」を実施しております。 今年度は2024年8月5日(月)・6日(火)に、5年ぶりの対面開催で行います。 大会では、各日本語教育機関における実践・事例の報告の機会として、発表の場を設けています。 意見・アイディア交換の場としてぜひご活用ください。 皆様からのご応募お待ちしております。 発表応募締切:2024年5月15日(水) 発表応募要項・申込方法: https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3076&f=news ※プログラム内容・参加お申込み方法など、大会の詳細については、 随時 https://www.nisshinkyo.org にてご案内してまいりますので、ぜひご覧下さい。

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