ベトナムを訪問した際、ホーチミン市でベトナムのチュオン・タン・サン前国家主席に会う機会がありました。14日のことで、ベトナムに日本の有機農業の技術を移転しようという日本の専門家らの表敬訪問に同席しました。

サン前国家主席はメコン・デルタの農業地帯、ロンアン省出身です。2011年7月から約5年間、国家主席として国をリードしてきましたが、ホーチミン市農業局長を歴任するなどし、農業の専門家としての顔も持っています。退任後も「前主席」として活動し、今年5月から6月にかけて日本を訪問し、兵庫、岡山、和歌山、大阪の各府県の主に農業関係者との会談や果樹園など施設の視察を行いました。

 今回、サン国家主席サイドから「日本の有機農業について専門家の話を聞きたい」との要望があり、表敬訪問が実現しました。農業問題はここでは触れませんが、私にも発言する機会がありましたので、①農業交流にはベトナム人の日本語教育が不可欠②日本では議員連盟が日本語教育推進基本法の制定をめざして議論をしているので、日本語の教育環境はより改善されるはず③この機会にベトナム側も日本語教育の取り組みにより力を入れてほしい――とサン前国家主席に要望しておきました。

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

7月
1
終日 留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
7月 1 2023 – 1月 3 2024 終日
日振協による文化庁委託の初任者研修が今年も始まります。 告示校で3年程度までの経験者対象です。 映像講義の視聴とテスト、数回のオンライン集合研修、自分の授業を改善する自己研修の3つに分かれており、様々な角度からの学びと教師としてのステップアップを目指せるカリキュラムとなっております。 研修詳細は https://www.nisshinkyo.org/index.php 最新トピックスをご覧ください。
12月
15
9:00 PM 日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
12月 15 2023 @ 9:00 PM – 1月 26 2024 @ 8:30 PM
【講座概要】漢字の知識は、日本の学校教育では国語科で学びます。しかし、その多くは「漢字テスト」の対策であり、文化的な側面や日本語の表記する方法の一つであるという認識が疎かになっているように思います。また漢字文化圏の学生にとっても母語での漢字の位置づけは、日本語のそれと同じものではありません。この講座では、漢字表記を通した日本語の特徴、そして漢字文化圏の日本語学習者を理解することを目的にしたいと考えています。 第1回 2023年12月15日(金) 文字としての漢字 漢字とかな・アルファベットとの違いを理解し、送り仮名・振り仮名の存在などから、漢字とかなの両方を用いる日本語表記の特殊性を考えます。後半では、漢字の構造(なりたちと構成方法)を理解します。 第2回 2024年1月12日(金) 字形 漢字の構造に慣れるために理解したい、部首と偏旁冠脚とのちがい。また、文化庁の「常用漢字表(付)字体についての解説」「常用漢字表の字体・字形に関する指針」や漢字文化圏諸国の「漢字表」を手引きに、「標準字体」とは、どういうものなのかを考えます。 第3回 2024年1月19日(金) 意味と読み 音読み(一字多音の理由)、訓読み(同訓異字のある理由と「使い分け」)、熟語の構成の理解から、日本語と漢語との文法構造の違いについて考えます。 第4回 2024年1月26日(金) 漢字文化圏 中国・台湾・韓国朝鮮およびベトナムでの漢字文化や社会における漢字の位置づけを理解し、漢字文化圏の日本語学習者への理解につなげます。

注目の記事

  1. 出入国在留管理庁で政府が日本語学校に課してした特例措置を終了 政府は5月8日をもって新型コロナ…
  2. 国籍法違憲訴訟で最高裁が上告を退ける 外国の国籍を取得すると日本国籍を失い、二重国籍を認められ…
  3. LSHアジア奨学会が留学生65人に奨学金を授与、4年ぶりに交流会も 線路に転落した人を…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate