「介護の日本語」の教師不足が深刻に [PR]


外国人介護士が日本に入りはじめたのはEPA(経済連携協定)の枠組みでインドネシア、フィリピン、ベトナムから看護師や介護士が日本で働ける制度ができてからである。しかし昨年11月に技能実習制度への介護職種の追加が決定されて以降、在留資格「介護」の新設、介護福祉の専門教育機関を卒業する者へのみなし介護福祉士扱いの時限措置に留学生も含む決定など、次々と新たな制度が設けられ、急速に外国人介護士を大量に受入れる準備が整った。日本の介護業界で外国人介護士を本格的に活用する時代が到来した。

この背景には、2025年度に253万人の介護人材が必用とされるのに対し、介護に従事する人材が215.2万人にとどまり、37.7万人も不足すると発表(厚生労働省平成27年6月24日)されたことがある。介護業界では危機感が高まった。

厚生労働省は9月29日、技能実習制度への介護職種の追加にあたり「介護固有要件に関する告示」を公示。これによると、入国時の実習生の日本語要件として「N3」程度が望ましい水準、「N4」程度が要件。2年目は「N3」程度を要件とし、入国後のOJTや研修等により、専門用語や方言に対応できることなど、日本語能力にも要件の定義がなされた。

入国時の講習においては、240時間の日本語学習が必須となった。その内の40時間は「介護の日本語」を学ぶとされ、専門分野の日本語学習が義務付けられた。また、2年目以降に実習生がビザを切り替える際にも日本語能力が審査基準に加わるため、継続的な日本語学習が必要となった。対人サービス分野での技能実習制度がスタートするのにあたり、日本語能力が要件として付与された。

ところが、外国人介護士に日本語能力試験対策としての日本語教育に加えて、「介護の日本語」を教える教師が不足していることが課題として浮上している。その一方でさまざまな機関や団体が介護の日本語の教材を開発し、また、EPAの経験をもとに研究や実践をしてき教師らが、そのノウハウを共有するワークショップを開催するなどの動きが活発になっている。

厚生労働省も「平成29年度介護職種の技能実習生の日本語学習等支援事業」を公募し、「実習生が日本語を学習するための環境整備等の支援を行う事業を委託する団体」に助成金を出すことを決定した。

今後ますます「介護の日本語」を教える教師が必用とされ、同時に教授法をはじめとしたさまざまな取り組みも注目を集めている。大原学園では、日本語教師の教員経験のある方を対象に実践的な「介護の日本語」を教えることを目的とした講座をこの秋から開講する。

EPAで来日した介護福祉士候補生への日本語指導をしてきたベテラン教師らが、介護知識がなくても「介護の日本語」を教えられるように、介護の基本語彙や最低限必要な専門知識、指導方法などを実践的に伝授する内容だ。

日本語教師のニーズが高まる介護分野で、教師としてのスキルを身につけ、自らの能力の幅を広げてみるのはいかがだろうか。

詳しいお問い合わせはこちら
ホームページ: http://www.o-hara.ac.jp/best/nihongo/course/nursing-japanese.html
連絡先: TEL 0120-764-420(月~金9:00~19:00 土9:00~17:00 日・祝休)
メール: nihongo@mail.o-hara.ac.jp

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一般財団法人日本語教育振興協会は標記研修を開催いたします。 昨年度に引き続き、より質の高い研修成果を求めて、研修の核となる2日間の集合研修を東京会場、大阪会場、福岡会場で全て対面にて実施することにいたしました。特に、東京会場は国立オリンピック記念青少年総合センターに宿泊して研修を行うので、研修に参加した仲間や講師との絆がより一層深まることを期待しております。もちろん、どちらの会場での研修も日本全国からご参加いただけます。 加えて、オンデマンドによる事前学習を多く取り入れるなど、集合研修での成果をより高めるための工夫がされております。さらに、各参加者が自校の教育の質向上のための取り組みを発表する機会を作り、より質の高いフィードバックが得られるように集合研修後のフォローアップも強化するなど、より密度の濃い研修プログラムとなっております。 受講希望者におかれましては、7月28日(月)までに,所定の応募方法にて,ご応募くださるようお 願いいたします。 また、当協会の主任教員研修は告示校を対象としているため、たとえ常勤3年以上の経歴を有していても認定校・告示校の教員(認定日本語教育機関の審査申請済みの教育機関(新規開校含む)に所属する主任教員を含む)でない限り研修の対象とはなりません。 《令和7年度 主任教員研修の特徴》 ︎「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」の成立により、ますます注目が集まる「日本語教育の参照枠」や「日本語教師の人材育成」について理解を深める事ができる ︎ 現場の“今”を意識した研修プログラムにより、過去の研修受講者が再度受講しても満足できる研修である ︎ グループワークでは経験別や所属学校の属性別のグループを構成することにより、多様な受講者の満足度を保証する 《令和7年度 主任教員研修のねらい》 ◆「日本語教育の参照枠」に基づく学習成果の評価と手法を理解し、実践に活かす力を養う ◆ 人材育成の目的や考え方を知り、自校が求める教員像に近づけるための育成方法を考え実践する ◆ 今の悩みを共有できる仲間や、相談できる先輩とのネットワークを獲得する 《研修について》 ◆研修期間  2025年8月29日(金)~2026年1月8日(木)まで       ※7月29日~8月25日まで事前課題への取り組みがあります       ※研修の詳細な日程については当協会のホームページよりご確認ください ◆開催場所 オンライン(Zoom)+下記いずれかの会場       【東京会場】国立オリンピック記念青少年総合センター       【大阪会場】関西研修センター(KKC)       【福岡会場】リファレンス駅東ビル貸会議室 ◆定員 108名(会場定員:東京会場54名/大阪会場36名/福岡会場18名) ◆参加資格 以下の(1)〜(3)のいずれかの条件を満たす方  (1) 認定校・告示校の主任教員  (2) 認定校・告示校で 3 年以上の常勤教員経験を有する主任教員予定者  (3) 認定申請済機関の主任教員 ◆参加要件 ・研修の全日程に参加できる方 ※参加決定後の会場変更は不可 ・オンライン集合研修において、静かで研修に集中できる環境から参加できる方 ・インターネット環境が整っており、PC で研修に参加できる方  ※スマホやタブレットからの参加は不可 ・自校にて実際に課題改善を行い、その取り組みを発表し、研修レポートとして提出できる方 ◆受講料 30,000円(消費税込)      ※東京会場参加者については、別途宿泊費及び食費等(20,000 円程度)が発生します。       詳細な費用については、参加決定者に対して別途お知らせいたします。      ※大阪・福岡会場参加者については、交流会参加費が発生します。       詳細な費用については、参加決定者に別途お知らせいたします。 ◆詳細・申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=3370&f=news          ★上記サイトに掲載されている開催案内をよくお読みいただきますようお願いいたします ◆応募締切 2025年7月28日(月) 〔問い合わせ先〕 一般財団法人日本語教育振興協会 主任教員研修担当 Eメール:shuninken@gmail.com TEL:03-6380-6557
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凡人社日本語サロン研修会@名古屋... @ 名古屋YWCA多目的ホール
11月 15 @ 2:00 PM – 3:30 PM
凡人社日本語サロン研修会@名古屋 『要約が鍵―情報を整理し伝える力をみがくワークブック―』 を使った上級授業の進め方 [日 時] 11 月 15 日(土)14:00 ~ 15:30(受付開始 13:30)   [会 場] 名古屋YWCA多目的ホール (愛知県名古屋市中区新栄町2-3)   [対 象] 主に日本語学校の教師・関係者,日本語教育ボランティア,日本語教育に関心のある方   [定 員] 40 名(先着順。定員になり次第締め切ります)   [参加費] 無料 ※要予約,先着順   [講 師] 石澤徹先生(東京外国語大学大学院 准教授)   [内 容] 「情報を整理し、他者に分かりやすく伝えること」は、実社会において重要な日本語力であり、「理解」と「産出」の両方が求められる統合的な技能です。 特に、構成をそのままに要点を残しつつ、短くまとめることが求められる「要約」活動は,その最たる例であるとともに、「能動的に読み、考え、表現する力」を伸ばす練習としても効果的だと考えます。 本セミナーでは、ワークブック開発の経緯とともに、実際に授業でどのように用いているかご紹介します。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:国書刊行会・凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井) E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 ※ メールでお申し込みの際はタイトル(件名)に「日本語サロン研修会(11/15)」と入れて、本文に氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 お申込みフォーム→https://forms.gle/bX2fL7K9hEucCREt7

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