日本語で日本を元気に、世界と日本を近づける――魅力あふれる「J8日本語大学」で学習者を増やしたい

日本語で日本を元気に、世界と日本と近づける――魅力あふれる「J8日本語大学」で学習者を増やしたい

私は台湾在住8年目、当地で日本語教育の会社を創業して8年目を迎える。海外在住でいえば、10年目に突入する。これだけ長く日本を離れていると、自国の状況に関心が薄れたのではと思われがちだが、それは違う。日本から離れているからこそ見えてくる現実、そして一種の愛国心のようなものが培われてくるように思う。

海外に住んでいると、現地の方々との交流は切っても切れないものだ。特にここ台湾で、親日である彼らの温かさに触れ、また自分の母語である日本語を一生懸命に学んでくれている姿をみると、その姿勢に胸打たれることがある。自身も海外に行くたびに現地の言語を学んできたので、言語学習の難しさは理解しているつもりでいたが、学生のみならず社会人の方までもが、仕事の合間や忙しい日常の間を縫って日本語を学習している現状を見るにつけ、いろいろと考えさせられるものがあるのだ。

国際交流基金によると、世界には365万人の日本語学習者が存在している。先述したように、学生だけではなく社会人の方も多くおり、レベル、国もそれぞれだ。多様な国、多様なレベル、多様な生活状況の日本語学習者がいる中、同じく言語学習に苦労してきた身として、現状での教育システムに問題があるのではないかと感じることがあった。

第一に、各学校・団体・企業が独自に開発した教材コンテンツを独自で販売する方法に問題があるのではないかと思っている。各国では言語・文化が異なるために最適な学習方法は当然異なってくる。しかし教材・教師が慢性的に不足しているため、教材開発に注力できていない。私自身、過去に日本語教師の方と交流する場が何度かあったのだか、彼らは多くの異なったレベルの生徒を抱え、毎日様々な業務に追われている。同じクラスの学生であっても理解度に差が出てくる場合の対策、課題提出のチェックやテストの実施など、非常に複雑な業務をこなしていた。これでは彼らが本当に力を入れたいはずの教材研究の時間や、生徒一人一人とじっくり向き合う時間を満足に取るのはかなり難しいだろう。

第二に、海外にいる日本語学習者の学習目的というのは、必ずしも「日本が好きだから」というものだけではない。彼らの多くが日本企業、日系企業への就職という「夢」と持っている。その為に、学生時代から或いは社会人になってもなお、その夢を捨てずに学習に励んでいる。また国が違えば事情も変わり、家族のため、よりよい生活のため、という状況も大いにある。

そんな中、日本国内に目を向ければ、少子高齢化に伴う介護問題、年金問題、そして国内経済不安などを様々な課題を抱えている。私は、それらの課題を解決するための基盤になるのが日本語教育なのではないかと思っている。これは単に、外国人材を国内に呼び込むことだけでは解決しない。日本という国の文化を、言語を海外に広め、より彼らと分かりあっていくことが何よりも大切なのではないだろうか。そのためには外国人材の日本語学習への強い意欲と日本語教育水準の向上が不可欠だと思う。

有難いことに現状、日本語をしっかりと学びたいという学習者の方が数多くいる。そしてしっかり教えていきたいという教師がいる。この両者をより緊密に、お互いがストレスなく楽しく結び付けていきたい。そのための解決策はなんだろうと考えた。

その答えが、私たちが開発した「J8日本語大学」という教育プラットフォームである。21世紀に変革が起こる業界の一つがデジタル教育であると思う。インターネットが世界中に当たり前のように普及し、私たちはその恩恵を享受するだけではなく、賢く便利に使いこなさなければならないフェーズに差し掛かっている。そこで生み出したのが、オリジナル教室をオンライン上に簡単に作成できるE-learning日本語教育プラットフォーム、J8日本語大学だ。

教師側は日本語に特化したコースやクラス(授業)内容の作成から、課題や練習問題、さらには費用設定、学習期限、学習目安時間など、そのプログラム内容を自由に設定することができる。学習者側は、自分の生活スタイルや学習スタイルに合わせて、無理なく好きな時間に好きな場所で日本語学習ができる。

従来なら、eラーニングやオンラインのSkypeレッスンなど、その多くが企業を対象としたサービス形態だった。しかし「J8 日本語大学」は、法人としてはもちろん、大学や専門の語学学校の日本語教師の方のみならず、フリーの日本語教師やYouTuber、すでに退職されたシニア層や子育て中の女性といった、様々な属性を持った“個人”が、オンラインの日本語教室を開設することを可能している。

ここで特に日本語教師の方に注目して頂きたいのは、オンラインという場所の特質だ。
学生管理の自動化はもちろん、教育コンテンツ評価機能によって教育の更なる優良化が実現可能。さらには爆発的な学習者数の増加が期待できる。

海外の教育の現場では、いかに学習意欲を高めるかということに注力しているという話をよく耳にする。私もやはり、大切だとは理解しつつも複雑で退屈な文法授業には辟易した口だ。日本語という美しい言語を学ぶ素晴らしさよりも先に、「難しい」「退屈」という印象が根付いてしまっては元も子もない。

そうした点に配慮したのも、「J8 日本語大学」の特徴だ。教える側・教わる側双方の趣味趣向を反映した、文化・旅行・食べ物・アニメ・音楽…といったジャンルをベースにした日本語学習が体験できる。また、日本企業への就職を目指したビジネス日本語では、まさに今社会で活躍しているサラリーマンやOL、さらには退職された経験豊富なシニア層の方も頼れる教師となることができる。

日本語が世界に広まれば、日本人の海外旅行のストレスは軽減され、海外投資、日系企業の現地採用、社員教育にも非常にポジティブな流れが生まれてくるだろう。既に多くの国で愛されている日本文化・POPカルチャーはさらに拡大し、日本への旅行客も増えること間違いなしだ。

日本語教師の方だけでなく、どんな方でも、日本語を自分と世界を繋ぐ大きな架け橋にできる。世界中の日本語学習者にとっては、日本という国がますます近く感じられる。そんなプラットフォームを作り上げることができたと自負している。

日本を元気にしたい、世界と日本を近づけたい。最高に楽しい日本語教育、日本語学習を世界に広めたい。そんな思いで作り上げたこの「J8日本語大学」。ぜひ一度検索エンジンに入力して頂きたい。そしてログインしたその瞬間から、世界中の学習者・日本語教師をすぐそばに感じて頂きたい。

J8日本語大学


HP http://jp8.online.info/
PressRelease http://bit.ly/J8Release

吉原 明(よしはら・あきら)寄稿者

投稿者プロフィール

「J8日本語大学」日本語教育プラットフォーム設立者。AHR TAIWAN(台湾本社)、AHR JAPAN株式会社(支社)、AHR-VN,Inc.(支社)、日教網路平台有限公司(台湾・関連会社)代表取締役社長。台湾の大学へ交換留学した22歳時に起業。現在創業8年目。

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イベントカレンダー

6月
7
8:00 PM ももの会主催_みんなで読もう!『... @ オンライン開催
ももの会主催_みんなで読もう!『... @ オンライン開催
6月 7 @ 8:00 PM – 9:30 PM
みなさん、こんにちは!ももの会です。 『超基礎 第二言語習得研究』(奥野由紀子編著、くろしお出版)を、全5回で読む読書会を企画しました! もう一度SLAを勉強したい方、この本を買ってそのままになっている方…、みんなで一緒に読んで話しませんか。 ◆こんな人におススメ! ◎これから第二言語習得論を勉強しようと思っている方 ◎もう一度勉強したい、知識をアップデートしたい方 ◎この本を読もうと思っているけど、読むきっかけをさがしている”積ん読”の方 1.スケジュール 全5回、毎回水曜日20:00~21:30実施 ・第1回(5月17日):1章、2章、3章 ・第2回(6月 7日):4章、5章 ・第3回(6月28日):6章、7章 ・第4回(7月19日):10章、11章 ・第5回(8月 9日):12章、15章 2.開催方法 すべてオンライン開催(zoom) ※グループワークがございますので、マイクをご準備いただき、 話せる環境でご参加ください。 3.進め方 ・事前に本を読み、わからなかったところをメモしておく ・わからなかったところを、みんなで考える ・各章にある「課題」を一緒にやる 4.参加費(Zoom代) 一般:1,000円/学生:500円 ※5回分の料金となります。 5.お申込み https://momonokai20230517.peatix.com/ 6.注意事項 ・本は各自でご用意ください。 ・録画はしませんが、記録はすべてGoogleスプレッドシート等に残します。 欠席回については、共有ファイルで内容をご確認いただけます。 7.主催者 ももの会 ももの会についてはこちらをご覧ください。 https://note.com/2021momonokai/n/n71afd95af03b 8.ももの会では、ももの会主催のイベント情報をお届けするためにメーリングリストを作成しています。ご希望の方は、こちらからお申し込みください。 https://note.com/2021momonokai/n/n47141a496dcc
6月
10
終日 異文化間教育学会 第44回大会 @ 東京都立大学 南大沢キャンパス
異文化間教育学会 第44回大会 @ 東京都立大学 南大沢キャンパス
6月 10 – 6月 11 終日
異文化間教育学会 第44回大会 大会実行委員長: 岡村 郁子(東京都立大学) 会 期: 2023年6月10日(土)・11日(日) 会 場: 東京都立大学 南大沢キャンパス Welcome to the 44th Conference of the Intercultural Education Society of Japan Venue: Tokyo Metropolitan University, Minami-Osawa Campus Dates: Saturday 10 June – Sunday 11 June 2023 Conference Organising Committee Chair: Ikuko Okamura (Tokyo Metropolitan University) We welcome presentations in English. For details, please refer to the Call for Papers. Please also use the attached template for submitting your abstract: abstracts template 託児サービスのご利用について 第44回大会では、託児サービス業者に委託し、東京都立大学の大会会場の建物の中で託児サービスを提供いたします。 ご利用を考えておられる方は、以下の説明に沿って期日までにお申し込みください。 託児申し込みついて 託児申込書
1:30 PM 地域日本語どっとねっとシンポジウ... @ オンラインと対面
地域日本語どっとねっとシンポジウ... @ オンラインと対面
6月 10 @ 1:30 PM – 4:30 PM
[日 時] 2023年6月10日(土)13:30~16:30 [会 場] 博多バスターミナル会議室 第7+第8ホール及びオンライン開催 対面と同時配信 ※対面参加の方のみ質疑応答に参加可能、配信は視聴のみ [定 員] 会場40名、配信視聴200名 [参加費] 無料 [内 容] 【基調講演】13:30~14:15 講師:神吉 宇一 先生(武蔵野大学グローバル学部准教授) タイトル:「地域日本語教育の役割は、日本語を教えるだけじゃない」ってどういうこと? 内容:日本は人口減少局面に入り、特に地方都市や特定の職業で人手不足が深刻になっています。 そして、外国人の受け入れによって、それを補おうという動きが活発化しています。 2019年の日本語教育の推進に関する法律以降、日本語教育に関する政策の整備が進んでいます。 2022年11月には、文化審議会国語分科会から、地域における日本語教育が目指す目標としてCEFRのB1レベルが提示されました。 一方、地域における日本語教育では、日本語を教えることだけがその役割ではないという意識が多くの人に共有されつつあり、そのための活動の蓄積も進んでいます。 そして、多くの地域日本語教室が、特定の教科書を教えるという方法から脱し、新たな取り組みを始めています。 そのような中、地域日本語教育に携わる人たちは、政府によるB1レベルという目標設定が「教科書の日本語を教えるだけ」の地域日本語教育に後戻りするのではないかという不安や懸念を抱いています。 本講演では、日本語を教えるだけじゃないという先にある多様な選択肢をどのように考えればいいのかを、教育のあり方と政策のあり方からお話をします。   【トークセッション・質疑応答】14:20~16:30(途中休憩あり) 東京、愛媛、福岡で活動する3名の方々に、日ごろ行っている活動事例をご発表いただいた後、活動の背景にある思い、困難に感じていること、実現したいこれからなど意見を交わし合います。 モデレーター:深江 新太郎 先生 発表者:松尾 慎 先生(東京女子大学教授、VEC代表) 松尾 美恵子 先生(福岡県古賀市/交流型日本語教室運営マネージャー) 宮田 あゆみ 先生(愛媛県松山市/にほんご町内会代表)   [お問い合わせ・お申込み] お申込みはこちら。 ※メール、または下記URL・QRコードからお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「地域日本語教育どっとねっとシンポジウム(6/10)」と入れて、本文に、ご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp(担当:凡人社/坂井)
6月
11
9:00 AM 教師のためのEdTech体験会 第13回... @ オンライン(ZOOM)
教師のためのEdTech体験会 第13回... @ オンライン(ZOOM)
6月 11 @ 9:00 AM – 11:30 AM
教師のためのEdTech体験会 第13回:classkick(クラスキック)〜教師も学習者もラクラク⭐授業も課題もアプリを一本化!〜 @ オンライン(ZOOM)
「教師のためのEdTech体験会」について オンライン授業でも対面授業でも、もっとICTツールを使ってみたいけど、一人ではムズカシイ…という先生方、体験会を通して、一緒に少しずつICTに強くなっていきませんか。「教師のためのEdTech体験会」は、教育に使えるオンラインツールを試してみるワークショップです。 第13回は classkick(クラスキック)を取り扱います。 classkick(クラスキック)〜教師も学習者もラクラク︎授業も課題もアプリを一本化!〜 「授業に使うアプリが増えすぎて、使うのも管理するのも大変……。」 「質問するのが苦手な学習者をどうフォローしたらいいか分からない……。」 こんな悩みを解決するのにピッタリなのが「classkick(クラスキック)」です。 classkick(クラスキック)はPDFをスライド上に取り込み、その上に ・選択問題 ・穴埋め問題 ・マーカーやペンで描画 ・線と線のマッチング ・音声で問題を聞く/音声で回答 などの問題を挿入することができるツールです。 classkickならアプリを行ったり来たりする必要がなく、教師も学習者もアプリ管理の煩雑さから解放してくれます! また、学習者は周りに知られずに教師に質問できる上、教師は取り組み状況がリアルタイムで把握できるので、消極的な学習者もしっかりフォローできます。 体験会は【入門編】と【初〜中級編】があります。【入門編】では基本的な操作を一通り学び、【初〜中級編】では教師役と学習者役に分かれて、実際に授業で使う方法も体験できます。 みなさまのご参加をお待ちしております!

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