衆院文部科学委員会が日本語教育推進法案を可決、本会議へ

衆院文部科学委員会が日本語教育推進法案を可決、本会議へ

衆院文部科学委員会は5月22日、超党派の日本語教育推進議員連盟がまとめた日本語教育推進法案を可決した。法案は本会議での採決後に参院に送られる。同法案については衆参両院の各会派に反対論はなく、今国会で成立する。

議員連盟から提出される法律案は、一般に議連の総会で様々な議論を得たうえで事前に各会派に内容が説明され了承を得る。このため、委員会では時間をかけて質疑が行われることはほとんどない。

この日の文部科学委員会では、日本語議連会長代行の中川正春氏が基本理念など法案の趣旨説明を行った。これに対して畑野君枝委員(共産)から外国人児童生徒への日本語教育支援や企業の日本語教育支援の在り方などに関して質問があった。中川氏のほか、議連事務局長の馳浩氏と同幹事長の笠浩史氏が答弁に立った。続いて採決が行われ、全会一致で法案を可決。十数分で委員会として同法案を本会議に提出することが決まった。早ければ28日の本会議で可決、衆院を通過する。さらに参院の文教科学委員会、本会議でも可決され、成立する。

日本語教育推進法案は目的、定義、基本理念、国の責務等のほか、基本的施策、日本語教育推進会議の設置など計28条と附則で構成。附則では日本語学校の制度整備に関する検討事項が盛り込まれている。日本語議連は2016年11月に発足。2018年12月の第11回総会で法案の条文を了承し、その後に条文の若干の修正を行った。

同法案が成立すると、政府は日本語教育に責任を持つ部署を定めるのをはじめ、日本語教育の基本方針を閣議決定して施策を進めることになる。また、関係省庁の担当者による日本語教育推進会議や関係機関の代表などで構成する日本語教育推進関係者会議を設け、施策を着実に実施する体制をつくる。

一方、政府は2018年12月25日にまとめた「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」でも日本語教育の施策を列挙している。日本語教育推進法案が成立すると、総合的対応策の日本語教育に関する施策の推進に弾みがつくものとみられる。

PDF資料

日本語教育推進法概要 日本語教育推進法起草の件 日本語教育推進法条文

にほんごぷらっと編集部

にほんごぷらっと編集部にほんごぷらっと編集部

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の編集部チームが更新しています。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

6月
10
終日 異文化間教育学会 第44回大会 @ 東京都立大学 南大沢キャンパス
異文化間教育学会 第44回大会 @ 東京都立大学 南大沢キャンパス
6月 10 – 6月 11 終日
異文化間教育学会 第44回大会 大会実行委員長: 岡村 郁子(東京都立大学) 会 期: 2023年6月10日(土)・11日(日) 会 場: 東京都立大学 南大沢キャンパス Welcome to the 44th Conference of the Intercultural Education Society of Japan Venue: Tokyo Metropolitan University, Minami-Osawa Campus Dates: Saturday 10 June – Sunday 11 June 2023 Conference Organising Committee Chair: Ikuko Okamura (Tokyo Metropolitan University) We welcome presentations in English. For details, please refer to the Call for Papers. Please also use the attached template for submitting your abstract: abstracts template 託児サービスのご利用について 第44回大会では、託児サービス業者に委託し、東京都立大学の大会会場の建物の中で託児サービスを提供いたします。 ご利用を考えておられる方は、以下の説明に沿って期日までにお申し込みください。 託児申し込みついて 託児申込書
1:30 PM 地域日本語どっとねっとシンポジウ... @ オンラインと対面
地域日本語どっとねっとシンポジウ... @ オンラインと対面
6月 10 @ 1:30 PM – 4:30 PM
[日 時] 2023年6月10日(土)13:30~16:30 [会 場] 博多バスターミナル会議室 第7+第8ホール及びオンライン開催 対面と同時配信 ※対面参加の方のみ質疑応答に参加可能、配信は視聴のみ [定 員] 会場40名、配信視聴200名 [参加費] 無料 [内 容] 【基調講演】13:30~14:15 講師:神吉 宇一 先生(武蔵野大学グローバル学部准教授) タイトル:「地域日本語教育の役割は、日本語を教えるだけじゃない」ってどういうこと? 内容:日本は人口減少局面に入り、特に地方都市や特定の職業で人手不足が深刻になっています。 そして、外国人の受け入れによって、それを補おうという動きが活発化しています。 2019年の日本語教育の推進に関する法律以降、日本語教育に関する政策の整備が進んでいます。 2022年11月には、文化審議会国語分科会から、地域における日本語教育が目指す目標としてCEFRのB1レベルが提示されました。 一方、地域における日本語教育では、日本語を教えることだけがその役割ではないという意識が多くの人に共有されつつあり、そのための活動の蓄積も進んでいます。 そして、多くの地域日本語教室が、特定の教科書を教えるという方法から脱し、新たな取り組みを始めています。 そのような中、地域日本語教育に携わる人たちは、政府によるB1レベルという目標設定が「教科書の日本語を教えるだけ」の地域日本語教育に後戻りするのではないかという不安や懸念を抱いています。 本講演では、日本語を教えるだけじゃないという先にある多様な選択肢をどのように考えればいいのかを、教育のあり方と政策のあり方からお話をします。   【トークセッション・質疑応答】14:20~16:30(途中休憩あり) 東京、愛媛、福岡で活動する3名の方々に、日ごろ行っている活動事例をご発表いただいた後、活動の背景にある思い、困難に感じていること、実現したいこれからなど意見を交わし合います。 モデレーター:深江 新太郎 先生 発表者:松尾 慎 先生(東京女子大学教授、VEC代表) 松尾 美恵子 先生(福岡県古賀市/交流型日本語教室運営マネージャー) 宮田 あゆみ 先生(愛媛県松山市/にほんご町内会代表)   [お問い合わせ・お申込み] お申込みはこちら。 ※メール、または下記URL・QRコードからお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「地域日本語教育どっとねっとシンポジウム(6/10)」と入れて、本文に、ご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp(担当:凡人社/坂井)
6月
11
9:00 AM 教師のためのEdTech体験会 第13回... @ オンライン(ZOOM)
教師のためのEdTech体験会 第13回... @ オンライン(ZOOM)
6月 11 @ 9:00 AM – 11:30 AM
教師のためのEdTech体験会 第13回:classkick(クラスキック)〜教師も学習者もラクラク⭐授業も課題もアプリを一本化!〜 @ オンライン(ZOOM)
「教師のためのEdTech体験会」について オンライン授業でも対面授業でも、もっとICTツールを使ってみたいけど、一人ではムズカシイ…という先生方、体験会を通して、一緒に少しずつICTに強くなっていきませんか。「教師のためのEdTech体験会」は、教育に使えるオンラインツールを試してみるワークショップです。 第13回は classkick(クラスキック)を取り扱います。 classkick(クラスキック)〜教師も学習者もラクラク︎授業も課題もアプリを一本化!〜 「授業に使うアプリが増えすぎて、使うのも管理するのも大変……。」 「質問するのが苦手な学習者をどうフォローしたらいいか分からない……。」 こんな悩みを解決するのにピッタリなのが「classkick(クラスキック)」です。 classkick(クラスキック)はPDFをスライド上に取り込み、その上に ・選択問題 ・穴埋め問題 ・マーカーやペンで描画 ・線と線のマッチング ・音声で問題を聞く/音声で回答 などの問題を挿入することができるツールです。 classkickならアプリを行ったり来たりする必要がなく、教師も学習者もアプリ管理の煩雑さから解放してくれます! また、学習者は周りに知られずに教師に質問できる上、教師は取り組み状況がリアルタイムで把握できるので、消極的な学習者もしっかりフォローできます。 体験会は【入門編】と【初〜中級編】があります。【入門編】では基本的な操作を一通り学び、【初〜中級編】では教師役と学習者役に分かれて、実際に授業で使う方法も体験できます。 みなさまのご参加をお待ちしております!
6月
17
2:00 PM 凡人社ハイブリッド日本語サロン研... @ オンラインと対面
凡人社ハイブリッド日本語サロン研... @ オンラインと対面
6月 17 @ 2:00 PM – 4:00 PM
[日 時] 2023年6月17日(土)14時00分~16時00分(オープン13:40) [会 場] オンライン(Zoom Meetingを使用)前日(16日)17時までに招待URLを送ります 凡人社大阪店(大阪市中央区久太郎町4-2-10大西ビルディング1階) [定 員] オンライン250名(要予約、先着順、定員になり次第締め切ります) 凡人社大阪店15名(要予約、先着順、定員になり次第締め切ります) [対 象] 主に日本語教師、日本語教育ボランティア、大学生・大学院生、大学教員など [参加費] 無料 [講 師] 岩田 一成 先生(聖心女子大学日本語日本文学科教授) [内 容] 『にほんごこれだけ!1』が出てから13年たちました。地域日本語教室の教材として長く愛されてきましたが、このタイミングで本書の使い方『にほんごこれだけ!の「これだけ」ヒント集+単語リスト [10言語翻訳付]』が公刊されました。 「わかりやすい日本語を使いながら、日本語教室で生のおしゃべりをしましょう」というコンセプトは今や多くの人に共有されています。 研修では、基本的な話から、新刊のヒント集の話まで広くお話します。 ★昨年10月22日に開催した研修会と同じ内容です。   [お問い合わせ・お申込み] お申込みはこちら。 下記お申込みフォーム(二次元バーコード)かメールでもお申し込み出来ます。 メールでお申し込みの際はタイトルに「ハイブリッド日本語サロン研修会(6/17)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先・オンラインor会場参加をご記入ください。 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp(担当:凡人社/坂井)

注目の記事

  1. 日本語学校の留学生の「奮闘ぶり」が読売新聞の連載記事に  日本語学校と言えば、一部の学…
  2. 企業の後継者難が叫ばれる中、「跡取り娘物語」を出版 日本語学校の跡取りも 中小企業庁が…
  3. ガイタネットが出入国在留管理庁と意見交換 「外国人住民への子育て白書」を発表 愛知、三…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate