66人の「入門・やさしい日本語」認定講師が誕生

66人の「入門・やさしい日本語」認定講師が誕生

10月4日から開講した「入門・やさしい日本語」認定講師養成講座(日本語教育情報プラットフォーム主催、アスク出版協力)が11月15日に修了し、66名の認定講師が生まれました。

この講座は、アスク出版「入門・やさしい日本語」の中で紹介した方々を中心に外部講師としてお呼びし、著者である私の世界観を共有するという趣旨で構成しました。毎週日曜日と木曜日の夜8時から2時間・全11コマの講座の構成は、毎回1時間を外部講師の話、30分をZoomのブレイクアウトルームを活用したディスカッション、30分を全体討議としました。毎回6人に組み合わされたグループでは「終了までに他のメンバーと必ず1回だけ会う」というシステムを実現し、自己紹介も事前に参照できるようにするなど、限られた時間を最大限の効率で活用できる仕組みを提供しました。

初回は私が普段やっている講演をそのまま実施しましたが、多くの方に「ろう・聴覚障害とやさしい日本語の関係をもっと知りたい」という意見を頂戴しました。このため追加で「ろう・聴覚障害特別セッション」というコマを設け、関係者の方々への確認も含め1カ月間準備した内容で講演しました。受講生で手話講師の経験のある方のお話や、全員が音声オフにしてコミュニケーションするブレイクアウトセッションなども実施し、大変高い評価をいただきました。

講座を設計した当事者としてうれしかったのは、「どのようにして仕事につなげていくか」というコマが大変好評だったということです。66名の中にはすでに活躍している方も少なくなく、ワークショップでの発表や受講生専用のFacebookグループでの情報交換で、受講生の方々の意識がどんどん変わっていくのが感じられました。すでに近隣の地域にいる方々がグループを作ったり、介護や観光など専門領域を持った方々のつながりができ始めています。

認定講師の方々から様々な感想や意見が寄せられており、これからのやさしい日本語における指導者はどうあるべきか考えさせるものになっています。今後数回に分けて、やさしい日本語の普及にかかわることについてのコラムを発表したいと思います。

また、大変好評だったため、来年にもまた開催を検討しています。ぜひとも「にほんごぷらっと」での告知をご期待ください。

講座企画・運営責任者  吉開 章

吉開 章(よしかい・あきら)寄稿者

投稿者プロフィール

やさしい日本語ツーリズム研究会事務局長、株式会社電通勤務。2010年日本語教育能力検定試験合格。会員3万人以上の日本語学習者支援コミュニティ「The 日本語 Learning Community(Facebook参照)」主宰。ネットを活用した自律学習者に詳しい。2016年「やさしい日本語ツーリズム」企画を故郷の福岡県柳川市で立ち上げ。論文・講演実績などはこちら(WEB参照)。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

7月
1
終日 留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
7月 1 2023 – 1月 3 2024 終日
日振協による文化庁委託の初任者研修が今年も始まります。 告示校で3年程度までの経験者対象です。 映像講義の視聴とテスト、数回のオンライン集合研修、自分の授業を改善する自己研修の3つに分かれており、様々な角度からの学びと教師としてのステップアップを目指せるカリキュラムとなっております。 研修詳細は https://www.nisshinkyo.org/index.php 最新トピックスをご覧ください。
10月
1
10:00 AM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
10月 1 @ 10:00 AM – 12:00 PM
凡人社オンライン日本語サロン研修会 新しい一歩を踏み出そう~『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』   [日 時] 2023年10月1日(日)10時00分~12時00分(オープン 9:40)   [定 員] 250名(先着順、定員になり次第締め切ります)   [対 象] 主に日本語教師、フリーランス、日本語教育ボランティア、など   [参加費] 無料 ※要予約 (前々日(9/29)17 時までに招待URLを送ります。 )   [講 師] 小山 暁子 先生(『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』著者) 武田 聡子 先生(『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』著者) 長崎 清美 先生(『ビジネス日本語 教え方&働き方ガイド』著者)   [内 容] 現在、日本で、日本人と働く外国籍社員が増えてきています。 それに伴い、ビジネス日本語の需要も高まっています。 このたび、私たちが長年にわたり携わってきたビジネス日本語教師、またコーディネーターとしての経験を1冊の本にまとめることができました。 セミナーでは、本書をご紹介しながら、ビジネス日本語とは何なのか、具体的なコース例や実践例を紹介しながらお話しします。 さらに、ビジネス日本語教師の働き方についても紹介します。 皆さんが日本語教師としての幅を広げる、前に踏み出す第一歩のお手伝いができればと思っています。   [お問い合わせ・お申込み] 担当:凡人社/坂井 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 ※メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(10/1)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォーム→https://onl.sc/xtvzdKr
10月
14
10:00 AM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
10月 14 @ 10:00 AM – 11:30 AM
凡人社オンライン日本語サロン研修会 コンテントベースのデザインレシピー学習者の批判的思考を促す日本語の授業―   [日 時] 2023年10月14日(土)10時00分~11時30分(オープン9:40)   [定 員] 250名(先着順,定員になり次第締め切ります)   [対 象] 主に日本語教師、フリーランス、日本語教育ボランティア、など   [参加費] 無料 ※要予約 前日(10/13)17時までに招待URLを送ります。   [講 師] 小山 悟 先生(九州大学留学生センター准教授)   [内 容] 『コンテントベースのデザインレシピ』(凡人社発行)は、コンテントベースの日本語授業のデザインについて“レシピ”を提示する一冊です。 批判的思考を促す手段として、質問作成活動を導入しています。 教育心理学や学習科学、第二言語習得研究の知見に基づいた実践とデザイン実験を積み重ねた軌跡から、コンテントベースの授業デザインのヒントと刺激を得られます。 全編、先生と元学生(新米日本語教師)の対話形式。 『コンテントベースのデザインレシピ』の紹介をしながら皆さまといっしょに、授業デザインについて悩み、より良い方法を探っていきます。   [お問い合わせ・お申込み] 担当:凡人社/坂井 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 ※メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(10/14)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォーム→https://onl.la/ULbrZa9
10月
19
10:00 AM 令和5年度生活指導担当者(中堅)... @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和5年度生活指導担当者(中堅)... @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
10月 19 @ 10:00 AM – 5:20 PM
令和5年度生活指導担当者(中堅)研修 2020年より続いた新型コロナウイルス感染症による水際対策強化が終了し、多くの留学生が日本語教育機関に入学しています。 一方、日本語教育機関は、現在大きな変革をもとめられており、中堅の教職員は下記に示す3つの流れを踏まえたうえでの学校運営を考えていく必要があります。 そのため、今年度の研修は、9月に中堅、来年2月に初任者と分け実施いたします。 生活指導担当者(一部教育機関では学生募集、入管行政業務を兼務)のスキル、モチベーションアップを中心に、昨年までのオンラインではなく、 対面式で行い、日本語教師も参加可能な現場の実際課題等を議論解決するグループワークを中心にした研修を行います。 皆様のご参加お待ちしております。 1  日時  令和5年10月19 日(水)10:00~17:20 2 会場 国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 3 参加要件 日本語教育機関又は大学・専門学校等教育機関の現場において、 少なくとも3年程度実際に留学生の生活指導に携わっていること。 4 参加費 維持会員及び準会員機関 8,800円(税込)/1人当たり その他の教育機関  17,600円(税込)/1人当たり 5 応募締切:令和5年9月20日(水) 6 詳細、申込方法 https://www.nisshinkyo.org/news/detail.php?id=2958&f=news

注目の記事

  1. 「差別の教室」を読んで思い出したこと 「差別」と言えば、私の場合、まずは在日コリアンに…
  2. 木原官房副長官の講演を聞いて~日本語教育は共生社会づくりの「一丁目一番地」 木原誠二官…
  3. 復興庁は外国人を対象に「福島」をテーマにした作文コンクールの作品を募集している。 日本政府…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate