有識者会議が政府に技能実習制度廃止を提言

有識者会議が政府に技能実習制度廃止を提言

政府の有識者会議が4月10日、外国人の技能実習と特定技能の両制度を見直し、技能実習制度を廃止して新制度を創設することを政府に提言した。有識者会議が議論を進めてきた結果をまとめた中間報告のたたき台で、今秋に最終方向を提出する。

中間報告のたたき台の最大のポイントは、1993年に創設した技能実習制度の「目的」に掲げている「人材育成を通じた国際貢献」を実態に合わないと断言した点だ。外国人を労働力として受け入れている現実と乖離し、実習生に過酷な労働を強い、失踪する事例を多発させていると指摘。さらに「技能実習を廃止したうえで、国内産業にとって人材確保の制度として再出発することが必要」と述べ、労働実態に合った新たな制度を創設すべきだという。

特定技能については、介護や建設など14業種に限られ、繊維・衣服などの分野に対応できていない。職種や分野の不整合があるため技能実習からの移行ができないという。たたき台では、「外国人労働者が中長期のキャリア形成を図れるように、制度を改めるべきだ」と提言した。

また、日本語教育については、「日本の産業や社会に有益な人材を育てるという意味では公的な負担で日本語教育の仕組みを作ることも考えるべきだ」と述べている。

技能実習生は30万人を超え、様々な課題を抱えながらも中小企業の貴重な労働力として定着しつつある。特定技能は2019年の入管法改正で設けられた制度だが、技能実習との連動が課題となっている。有識者会議は幅広い観点から外国人労働者の受け入れの議論を進めてきた。たたき台は総花的な作りになっているが、一定の方向性を示したものだ。

有識者会議は、今秋にも最終報告をまとめる予定。これを受けて政府は方針を策定し、来年の通常国会に新たな法案を提案する意向だ。

技能実習生の支援団体の代表はNHKの取材に対し、「技能を学ぶ実習生という位置づけから労働者として受け入れることを打ち出したことで、1つ評価できるかなと思っている。ただ、ちゃんとした受け入れ方ができるかは別の話で、できるだけたくさんの現場の声を拾ってもらい、新しい制度の見直しにつなげてほしい」と話している。

 

以下は、この問題を報じたNHK  NEWS  WEBのURL

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230410/k10014033941000.html

 

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