日本語議連の馳事事務局長が講演 秋の臨時国会では「基本法」成立に意欲表明

日本語議連の馳事事務局長が講演 秋の臨時国会では「基本法」成立に意欲表明

日本語教育推進議員連盟の馳浩事務局長(元文科相)が8月7日、都内で開かれた日本語教育振興協会(日振協)の日本語教育研究大会で講演し、日本語教育推進基本法の法文化作業について「9月には条文化したい。10月、11月の臨時国会では何としても超党派で議員立法として成立させたい」と決意を述べた。その一方で馳氏は先に公表した基本法の原案である政策要綱に関して「まだ生煮えの部分がある」となお修正の余地があり、細部については衆院法制局との協議も含め検討中であることも明らかにした。

日振協の研究大会の講演とあって、約350人の聴衆はほとんどが日本語教師。基本法の政策要綱の内容は先の日本語議連の総会で基本的に承認を得ているが、細部に関しては馳氏ら幹部が衆院法制局や関係省庁、さらには外部からの意見を聴きながら調整作業を進めている。衆院法制局が作成する条文については「出来上がったものをそのまま法律にはしない」と明言。限られた時間しかないが、様々な外部の人の意見に耳を傾け、必要な提案があれば法案に盛り込んでいく考えを示した。

講演では、馳氏が政策要綱の中身を詳細に説明したあと質疑に入り、米ロサンゼルスの大学で教べんをとる日本語教師が最初に質問に立ち、海外在住の教師の立場から要綱に「在留邦人の子等」と一括りにされていることに対し、より具体的な表現にするよう求めた。この要望に対し馳氏は明言を避けたが、法案成立後に政府が策定する基本計画の中で対応するなど何らかの措置が考えられると述べた。

要綱の「学校」という記述を「学校教育法第一条に規定する学校」と規定しているのは誤解を招くとの指摘に対しては、「そこは直すことにしている」と専門学校、各種学校についても規定する考えを示した。

また、講演で馳氏は日本語教師について「わが国の社会においても、重要な資格を取った専門的な職業」との認識を示し、「年収300万円ではダメ、年収400~500万円ぐらいの専門職として位置付けていきたい」と述べた。

 

※ビデオは講演当日のライブ映像のため、会場環境でスクラッチノイズが入ります。
 また音声に多少乱れがあります。

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

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12
12:00 AM 留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
留学生対象の日本語教師初任者研修... @ オンライン(ZOOM)
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日振協による文部科学省委託の初任研修が今年も始まります。 告示校で10年程度専任で経験されている方対象です。 OJTで実際の運営に関わりながら研修運営を肌で学んでいただけます。 研修詳細は協会ホームページより、チラシと募集案内をダウンロードしてご確認ください。   「日振協 留学生対象の日本語教師初任者研修」は「オンライン映像講義」「(オンライン)集合研修」「自己研修(自律的学習)」の三位一体の編成により、①自律的・持続的な成長力 ②対話力 ③専門性という3つの資質・能力の育成を目指すもので、忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の教育機関に所属している受講生への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 2020年度から、この初任者研修と並行して、「育成研修」を併せて実施しています。「育成研修」は初任者研修のサポートを行いながら研修の企画や実施方法を学び、将来全国各地で初任者研修の実施担当者として活躍していただく人材を育成する研修です。具体的には以下のことを目指しています。 ①初任者教員の協働的かつ自律的な学びを支援し、21世紀に活躍できる日本語教師としての資質・能力及びICT活用能力の獲得へと導く ②研修委員に必要な経験と能力を身につける 研修は、フルオンライン(zoom使用)で実施いたします。学内で初任者の指導を任されている方、地方在住でなかなか研修機会に恵まれない方など全国各地からご参加いただきたく存じます。修了生は今後実施委員になっていただく可能性もございます。どうぞ奮ってご応募ください。 チラシ(PDF 裏表2頁/1枚)
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12:00 AM 留学生に対する日本語教師初任研修 @ オンライン
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本研修のカリキュラムは文化審議会国語分科会の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に基づいており、初任者が体系的・計画的に日本語指導を行うための実践的能力として (1)自律的・持続的な成長力 (2)対話力 (3)専門性 の3つの資質・能力の養成を狙いとした90単位時間のプログラムです。忙しい仕事の合間を縫って学べるよう、また地方の日本語教育機関の新任の先生方への負担を減らすため、e-Learningを利用した研修となっています。 研修形態はフルオンラインです。昨年度同様、今後日本語教師にますます求められるであろうICT活用能力(オンライン授業やハイブリッド授業の実践等)に重点を置いた研修を行います。 つきましては、ぜひ多数の日本語教師初任者の方にご参加いただきたく下記のとおりご案内いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 チラシ(PDF 表裏2頁/1枚)
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凡人社日本語サロン研修会 『でき... @ 大阪会場TKP 大阪本町カンファレンスセンター
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10:00 AM 令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
令和6年度日本語学校教育研究大会 @ 国立オリンピック記念青少年総合センター
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