岡山外語学院が創立30周年で記念講演会 「やさしい日本語」の吉開氏を講師に

岡山外語学院が創立30周年で記念講演会 「やさしい日本語」の吉開氏を講師に

岡山外語学院(岡山市)は8月6日、「にほんごぷらっと」主催の「『入門・やさしい日本語講師』認定養成講座」を企画・運営する吉開章氏を講師に迎え、創立30周年の記念講演会を開催した。同学院は留学生への日本語教育などに加え、国内の日本人向けの「やさしい日本語」を視野に新たな日本語教育の分野を切り開きたいとしている。

岡山外語学院は、学校法人アジアの風(片山浩子理事長)が運営。外国人留学生の日本語教育をはじめ、海外の日本語教育や生活者としての在留外国人の日本語教育、さらには日本語教師の養成などを行ってきたが、多文化共生の社会づくりに必要な「やさしい日本語」に新たに取り組みたいと、吉開氏に講師を依頼して記念講演会を開いた。

記念講演会はZoomを通じても発信され、同学院の教職員はじめ、瀬戸内日本語教師会、日本語教師養成講座受講生、岡山県内の日本語教育のボランティアグループなど約100人が視聴した。

吉開氏は電通に勤務する傍ら日本語教育に関心を持ち、2010年に日本語教育能力検定試験に合格し、日本語教師の資格を保有している。阪神大震災で多くの在日外国人が被災したのを機に、防災、減災のために「やさしい日本語」が注目されたが、吉開氏は日本人の側が外国人にわかりやすい日本語を使う「やさしい日本語ツーリズム」を故郷の福岡県柳川市の観光事業で実践。その動画が広く視聴され、新たな日本語の活用法として注目を集めた。

また、吉開氏は「やさしい日本語」を広く普及させるため、「『入門やさしい日本語』認定講師養成講座」を開催。「にほんごぷらっと」が主催する事業だが、企画・プロデュースは吉開氏が担当。すでに3期の養成講座が修了し、計188人の認定講師が誕生している。現在は10月23日から11月27日までの第4期の養成講座の受講者を募集中(以下のURL)。

https://www.kokuchpro.com/event/yasanichi04/

さらに吉開氏は明治大学の山脇啓造教授のゼミと連携して「やさしい日本語」をラップで広める「やさしい せかい」の動画を作成するなど活動の幅を広げている。以下は「やさしい せかい」のYou TubeのURL

https://www.youtube.com/watch?v=2fYxhoUwqAg

記念講演で吉開氏はこうした自身の取り組みのほか、日本語学校が「やさしい日本語」を事業化する意義を強調した。新型コロナウイルスの感染拡大で政府がほぼ2年にわたって外国人留学生の入国を規制したことで日本語学校の経営が悪化したが、吉開氏は多文化共生の社会づくりにも日本語学校が果たすべき役割があるとの考えを示した。岡山外語学院からは3人の日本語教師が「『入門やさしい日本語』認定養成講座」に参加しており、吉開氏は「企業を含めた地域社会における日本語学校の未来を見据え、一歩進めた貴重な学校だ」と同学院を評価した。

吉開氏の記念講演のあと、石原進にほんごぷらっと編集長が2019年6月に施行された日本語教育推進法の制定過程と「におんごぷらっと」の関わりなどについて説明。併せて多文化共生社会における「やさしい日本語」の必要性を強調した。

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日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
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