国民民主党の玉木代表に日本語教育推進法案の審議を促す文書を送付

国民民主党の玉木代表に日本語教育推進法案の審議を促す文書を送付

にほんごぷらっとの編集長が6月19日、国民民主党の代表の玉木雄一郎代表に日本語教育推進法案の参院での審議を促す文書をファックスで送付しました。文面は以下のとおりです。

***********

国民民主党代表

玉木雄一郎様

国民民主党の「再考」を期待する

超党派の日本語教育推進議員連盟が2年8カ月にわたる議論と検討を重ねたの末に作成し、通常国会に提出した日本語教育推進法案が参院文教科学委員会で審議されないまま、廃案になろうとしています。

この法案は、衆院ですべての党会派が賛成しています。参院でもすんなり賛成を得られ、成立することを疑いませんでした。インターネットサイト「にほんごぷらっと」は「19日に成立へ」と速報し、関係者からは安堵と喜びの声が寄せられました。

今回の理不尽な事態の元凶は参院の国民民主党です。「与党が予算委員会を開かないと、議員立法のこの法案の審議はしない」と土壇場で言い出しました。

これは、永田町で言うところの「国対政治」です。国会対策を優先させ、取引材料にしようというのです。日本語教育推進法案を「人質」にしているわけです。

こうした状況を昨夜、個人メールのBCCで発信したところ、国内だけでなく海外からも「怒り」と「憤り」に満ちたメールが返ってきました。

欧米、アジアなどに在留する人たちが海外の子供たちの日本語教育のことを考え、この法案の成立に大きな期待を寄せているからです。

「にほんごぷらっと」では、日本語教育推進議員連盟の議論を取材し、記事としてサイトに掲載してきました。私は元政治記者ですが、こうした地道な議員活動をつぶさに取材したのは初めてでした。外国人児童の急増に学校現場が対応できない窮状を知る議員自身が切々と訴え、その対応策を強く求めました。

日本語ができない日本国籍の子供が増えているという説明もありました。その言葉は私の胸にぐさりと突き刺さりました。日本語教育の研究者は日本語教育の現状や重要性を丁寧に議員に説明しました。NPO関係者は「日本語教育すらできなくて何が共生社会だ」と声を荒げました。行政府の心ある官僚の「影の協力」もありました。そうした積み重ねを経て法案が作成されたわけです。そこには、大手メディアの「政治記者が報じない政治」ありました。

 

議員連盟の会長の河村建夫さん、会長代行の中川正春さん、事務局長の馳浩さん、事務局次長の里見隆治さん、同じく事務局長の石橋通宏さん。議連の活動をリードしたのは、この幹部の皆さんです。

「政治は弱者のためにある」との考えのもと、情報弱者である外国人、それを手弁当で支えるボランティアの人たちの苦労に思いをはせて政治活動を行っている立派な政治家です。国民民主党の中にも日本語教育を深く理解する優れた政治家が少なからずいるのを知っています。同党の一部幹部から「日本語教育推法案は必要な法律です」との声が日本語学校関係者にメールで寄せられています。

にもかかわらず、この有様です。きかんぼうの子供のような一部幹部がその権限おいて我を張れば政治は動きません。政党政治の限界を見せつけられたような思いです。

「永田町の論理」は通用しない時代です。様々な情報をいただき、「首謀者」は見えてきましたが、個人攻撃をする気はありまません。国民民主党は天下の公党ですから、政党として最終的な政治判断をしてもらわねばなりません。

研究者ら有志による日本語教育推進法案の成立を求める書名活動では、海外からも含め万単位の署名が集まったことを付け加えておきます。

私は「にほんごぷらっと」の責任者としてではなく、私個人として国民民主党の玉木代表、平野幹事長はじめ幹部多数にメッセージを送ります。

残された時間はわずかですが、国民民主党の「良識」に望みをかけたいと思います。

にほんごぷらっと

石原 進

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

3月
23
9:00 PM 「世界中の日本語教育関係者のため... @ オンライン開催
「世界中の日本語教育関係者のため... @ オンライン開催
3月 23 @ 9:00 PM – 11:00 PM
例年好評の「世界中の日本語教育者のためのオンライン交流会」を2024年3月に開催いたします。開催にあたり、発題者を募集いたします。 「オンライン交流会」では、世界中の日本語教育・学習に関心のある人たちがグローバルに新たなつながりを持てるようになることを目ざしています。今実践や研究されていること、あるいはこれから実践や研究したいと考えていることをご発題いただき、同じ興味や関心、問題意識を持つ仲間を探してみませんか? 世界中の日本語教育関係者のためのオンライン交流会(ライブ開催) 日時:2024年3月23日(土)21:00~23:00(日本時間) 言語:日本語 参加資格:世界中の日本語教育・学習関係者 参加費:無料 お申込み・詳細はこちらをご覧ください。 発題者募集 例えば、現場での悩み、相談したいこと、研究仲間を探している企画など、 完成した研究や実践でなくて大丈夫です! また、大学生・大学院生、日本語学習者によるご発題も大歓迎です!  募集する内容 実践や研究の共有 これから行いたいと考えている実践や研究の共有 例えば、現場での悩み、相談したいこと、研究仲間を探している企画など、完成した研究や実践でなくて大丈夫です! また、大学生・大学院生、日本語学習者によるご発題も大歓迎です!  ご発題にあたり配慮をご希望される方は、ご希望の内容を日本語教育学会国際連携委員会(kokusairenkei@nkg.or.jp)までお知らせください。ご相談のうえ、できる限りの対応を検討させていただきます。  2024年1月27日(土)までに発題申込フォームに話題提供者の情報と発題題目、発題概要(100~200字)をご記入ください。  ※今回は発題者のお申し込みです。お間違いのないようご注意ください。参加者申し込みは2024年2月を予定しています。  注意事項: 参加者からのデータ収集や営利を目的とした話題提供はご遠慮ください。 オンライン交流会でのご発題は、交流を目的としており、「学会発表」ではありません。 応募多数の場合は話題提供者の地域を考慮しながら選考します。  ご参考:昨年度のオンライン交流会WEBサイト https://kokusairenkei2.wixsite.com/kouryukai2023  お問い合わせ:公益社団法人日本語教育学会国際連携委員会(E-mail: gn-nkg@nkg.or.jp)
3月
30
10:00 AM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
3月 30 @ 10:00 AM – 11:30 AM
凡人社オンライン日本語サロン研修会 漢字授業の事前準備とテキストの使い方,ときどき模擬授業 ~『日本語学習者のための漢字634』を中心に~   [日 時] 2024年3月30日(土)10:00~11:30(オープン9:40)※日本時間   [定 員] 250名(先着順、定員になり次第締め切ります)   [対 象] 主に日本語学校の教師・関係者、日本語教育ボランティア、日本語教育に関心のある方   [参加費] 無料 ※要予約、前日(3/29)17時までに招待URLを送ります。   [講 師] 二村 年哉 先生、阿部 仁美 先生(『日本語学習者のための漢字634』著者)   [内 容] 漢字学習は、既習文法の確認や身近な例とリンクさせることで効率的、かつ学習効果や学習者の満足度もアップします。 今回のセミナーでは、スパイラル学習のしやすい『日本語学習者のための漢字634』(北海道大学出版会発行)を元に進めていきますが、どのテキストを使っても授業の基本は同じです。 手元にテキストがあるかのように画面に表示しながら模擬授業形式で進めていきますので、それを見ながら何をどのように教えたら効果的か、必要な準備は何かについて考えていきましょう。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:凡人社 担当:凡人社/坂井 E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかメールでお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(3/30)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォーム→https://x.gd/3Tbk8
4月
6
10:30 AM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン開催
4月 6 @ 10:30 AM – 12:00 PM
凡人社オンライン日本語サロン研修会 『【動画で学ぶ】 コンビニの日本語』出版記念 ~執筆者から直接学べる 活用研修~   [日 時] 2024年4月6日(土)10:30~12:00(オープン10:10)   [定 員] 200名(先着順、定員になり次第締め切ります)   [参加費] 無料 ※要予約、前日(4/5)17 時までに招待URLを送ります。   [講 師] 遠藤 由美子 先生(学校法人 ARC日本語学校) 佐藤 恭子 先生(学校法人アジアの風 岡山外語学院) 森下 明子 先生(学校法人アジアの風 岡山外語学院)   [お問い合わせ・お申込み] 主催:アルク・凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井)   E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかQRコードかメールにてお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(4/6)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォーム→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdq_wSLFk5_WY8GzE4fbL5jzFUOL9k1oonVEoT9JbeevhO6Fw/viewform?usp=pp_url
4月
20
2:00 PM 凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン
凡人社オンライン日本語サロン研修... @ オンライン
4月 20 @ 2:00 PM – 3:30 PM
凡人社オンライン日本語サロン研修会 Can-do を学習目標にした授業や評価のあり方がわかる! 『Can-do で教える 課題遂行型の日本語教育』刊行記念イベント   [日 時] 2024年 4月20日(土)14:00~15:30(オープン 13:40)※日本時間   [定 員] 250名(先着順、定員になり次第締め切ります)   [対 象] 日本語教師、日本語教育をこれから学ぶ方、日本語教育の動向に関心のある全ての方   [参加費] 無料 ※要予約 前日(4/19)17 時までに招待URLを送ります   [講 師] 来嶋 洋美 先生 八田 直美 先生 二瓶 知子 先生   [内 容] 『Can-do で教える 課題遂行型の日本語教育』(三修社発行)の出版記念イベントです。 日本語教育の参照枠ができ、4月からは日本語教育機関の認定等に関するもの、また、登録日本語教員の国家資格など新しい法律も施行される中、参照枠に沿った日本語教育、その授業の具体的な内容や方法については教師に委ねられているのが現状です。 参照枠やJFスタンダードに沿った日本語教育とはどんなものなのか、従来通りのやり方からどう変えていったらいいのか、今知っておきたい情報を本書の内容をご紹介しながらお話ししていきます。   [お問い合わせ・お申込み] 主催:三修社・凡人社 お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社/坂井)   E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp   ※下記お申込みフォームかQRコードかメールにてお申し込みください。 メールでお申し込みの際はタイトルに「オンライン日本語サロン研修会(4/20)」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。   お申込みフォーム→https://x.gd/JDs6P

注目の記事

  1. 木原官房副長官の講演を聞いて~日本語教育は共生社会づくりの「一丁目一番地」 木原誠二官…
  2. 軍政と戦うミャンマーの民主派勢力、私たちに何ができるのか ロシアのウクライナ侵攻が続い…
  3. 移民政策の先駆者・故坂中英徳さんを偲んで 第三話 坂中論文 在日コリアンに関心の…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate