日本語教育推進法と「にほんごぷらっと」の役割

日本語教育推進議員連盟の皆さんの問題意識が詰まった日本語教育推進法が通常国会終盤で成立しました。私たちは3年ほど前、議員連盟の発足の動きに合わせて「にほんごぷらっと」を開設しました。議員連盟の活動を記録し、より多くの方に日本語教育の重要性を知ってもらうことが必要だと考えたからです。

サイトには「なぜ、いま『にほんごぷらっと』なのか?」と題した「ご挨拶」の文章を載せました。その中に「日本語教育推進基本法が成立し、政府が主体的に日本語教育をリードする態勢が整った時、その役割はより重要になると確信しています」と書きました。法律名は少し変わりましたが、日本語教育推進法が誕生したいま、改めて「にほんごぷらっと」の役割の在り方を考えてみたいと思います。

日本教育推進法に目を通すと、この法律は日本語教育の推進を国や地方自治体の「責務」と規定し、その「目的」として「多様な文化を尊重した活力ある共生社会の実現に資する」ことと「諸外国との交流の促進並びに友好関係の維持発展に寄与する」ことを掲げています。その目的に向けてどのように施策が実施され、世の中がどう変化するかをウォッチすると同時に、その実践を後押しするための情報を発信する――「にほんごぷらっと」の役割、使命をこう考えたいと思います。

「にほんごぷらっと」は、メディアとしては小規模な存在です。世の中への影響力では大手のメディアに遠く及びません。しかし、「時代を見抜く力」や「グローバル化の流れを読む力」は引けをとりません。むしろ優位にあると信じています。

「共生社会」とは何か。それはどのように構築すべきなのか。諸外国との交流のあるべき姿は……。簡単に答えは出てこないと思いますが、そうした問いを反芻し、考えを深化させる場として「にほんごぷらっと」を活用できればと考えています。

日本語教育情報プラットフォーム代表世話人
にほんごぷらっと編集長
石原 進

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

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イベントカレンダー

7月
1
終日 留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
7月 1 2023 – 1月 3 2024 終日
日振協による文化庁委託の初任者研修が今年も始まります。 告示校で3年程度までの経験者対象です。 映像講義の視聴とテスト、数回のオンライン集合研修、自分の授業を改善する自己研修の3つに分かれており、様々な角度からの学びと教師としてのステップアップを目指せるカリキュラムとなっております。 研修詳細は https://www.nisshinkyo.org/index.php 最新トピックスをご覧ください。
12月
15
9:00 PM 日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
12月 15 2023 @ 9:00 PM – 1月 26 2024 @ 8:30 PM
【講座概要】漢字の知識は、日本の学校教育では国語科で学びます。しかし、その多くは「漢字テスト」の対策であり、文化的な側面や日本語の表記する方法の一つであるという認識が疎かになっているように思います。また漢字文化圏の学生にとっても母語での漢字の位置づけは、日本語のそれと同じものではありません。この講座では、漢字表記を通した日本語の特徴、そして漢字文化圏の日本語学習者を理解することを目的にしたいと考えています。 第1回 2023年12月15日(金) 文字としての漢字 漢字とかな・アルファベットとの違いを理解し、送り仮名・振り仮名の存在などから、漢字とかなの両方を用いる日本語表記の特殊性を考えます。後半では、漢字の構造(なりたちと構成方法)を理解します。 第2回 2024年1月12日(金) 字形 漢字の構造に慣れるために理解したい、部首と偏旁冠脚とのちがい。また、文化庁の「常用漢字表(付)字体についての解説」「常用漢字表の字体・字形に関する指針」や漢字文化圏諸国の「漢字表」を手引きに、「標準字体」とは、どういうものなのかを考えます。 第3回 2024年1月19日(金) 意味と読み 音読み(一字多音の理由)、訓読み(同訓異字のある理由と「使い分け」)、熟語の構成の理解から、日本語と漢語との文法構造の違いについて考えます。 第4回 2024年1月26日(金) 漢字文化圏 中国・台湾・韓国朝鮮およびベトナムでの漢字文化や社会における漢字の位置づけを理解し、漢字文化圏の日本語学習者への理解につなげます。

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