東海地方のNPOなどが「外国人支援・多文化共生ネット」を設立 全国初 名古屋入管で記者会見

東海地方のNPOなどが「外国人支援・多文化共生ネット」を設立 全国初 名古屋入管で記者会見

外国人をサポートする三重、愛知、岐阜の3県のNPOなどが連携しながら国への提案などを行うため「外国人支援・多文化共生ネット」を発足させた。名古屋市の名古屋出入国在留管理局で7月10日、関係者が記者会見して明らかにした。政府の施策に沿った外国人支援団体のネットワーク化に向けた全国で初の取り組みだ。ネットは、同管理局に対する働きかけを通じて政府の「共生社会」の政策づくりに市民サイドの声を反映させたいとしている。

ネットを立ち上げたのは、三重県鈴鹿市のNPO法人愛伝舎(坂本久海子理事長)など、三重1団体、愛知6団体、岐阜2団体の計9団体。それぞれが外国人住民に対し日本語教育や生活支援、生活相談など多岐にわたる支援を行っている。記者会見を前に設立総会を開き、坂本理事長を代表に選び、県ごとに世話人を決めた。

政府は昨年12月に「外国人材受け入れ・共生のための総合的対応策」をまとめ、その中に施策として「外国人の支援にかかわる人材・団体の育成とネットワークの構築」を盛り込んだ。これを受けて名古屋入管局の藤原浩昭局長が呼びかけ、4月25日には3県の21の支援団体が同管理局側と懇談の場を持った。外務省外国人課長を経験した藤原局長と坂本代は当時からの知り合いで、席上、藤原局長が団体側の結束を呼び掛け、坂本代表がネットの設立を提案した。

その後、団体側は会合を持つなどして「ネットワーク化」に向けた準備を進めてきた。外国人支援の最前線で活動する団体側は、厳しい財政状況やスタッフの不足など課題を多く抱え、行政や地域社会の理解と協力を必要としている。一方、「共生社会」の構築に向けて政府の政策の「総合調整」という重要なミッションを新たに抱えた名古屋入管局・入管庁にとっては、「ネット」との連携が「現場の要望」を収集する有効な機会となる。連携、拠力は双方にとってメリットがある。

今後、「ネット」は団体間で情報を共有することで解決すべき課題を洗い出し、名古屋入管局を通じて政府に解決策を提案したいという。改正入管法の施行で外国人労働者の増加が予想される中、地域で「共生社会」をつくるには地方自治体、外国人を雇用する企業、地域住民の連携が不可欠だ。その「つなぎ役」を果たせるのは、これまで地道に活動をしてきた支援団体であり、実際に政策の実現に責任を負うべきは政府・入管庁だ。

「ネット」は自らの活動を広くアピールするため、年度内にシンポジウムなどを開催したいとしている。坂本代表は「『多様性が豊かさになる社会』、それが目指すべき共生社会であり、その実現に向けて、みんなで知恵を出し合って頑張っていきたい」と話している。

記者会見に同席した藤原局長は「このようなネットワークは全国初だと承知している。その発足を歓迎し、全国に先駆けての取り組みが今後、良いものになるなら必要な支援、協力をさせてもらいたいと考えています」と語った。

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みなさん、こんにちは!ももの会です。 『超基礎 第二言語習得研究』(奥野由紀子編著、くろしお出版)を、全5回で読む読書会を企画しました! もう一度SLAを勉強したい方、この本を買ってそのままになっている方…、みんなで一緒に読んで話しませんか。 ◆こんな人におススメ! ◎これから第二言語習得論を勉強しようと思っている方 ◎もう一度勉強したい、知識をアップデートしたい方 ◎この本を読もうと思っているけど、読むきっかけをさがしている”積ん読”の方 1.スケジュール 全5回、毎回水曜日20:00~21:30実施 ・第1回(5月17日):1章、2章、3章 ・第2回(6月 7日):4章、5章 ・第3回(6月28日):6章、7章 ・第4回(7月19日):10章、11章 ・第5回(8月 9日):12章、15章 2.開催方法 すべてオンライン開催(zoom) ※グループワークがございますので、マイクをご準備いただき、 話せる環境でご参加ください。 3.進め方 ・事前に本を読み、わからなかったところをメモしておく ・わからなかったところを、みんなで考える ・各章にある「課題」を一緒にやる 4.参加費(Zoom代) 一般:1,000円/学生:500円 ※5回分の料金となります。 5.お申込み https://momonokai20230517.peatix.com/ 6.注意事項 ・本は各自でご用意ください。 ・録画はしませんが、記録はすべてGoogleスプレッドシート等に残します。 欠席回については、共有ファイルで内容をご確認いただけます。 7.主催者 ももの会 ももの会についてはこちらをご覧ください。 https://note.com/2021momonokai/n/n71afd95af03b 8.ももの会では、ももの会主催のイベント情報をお届けするためにメーリングリストを作成しています。ご希望の方は、こちらからお申し込みください。 https://note.com/2021momonokai/n/n47141a496dcc
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異文化間教育学会 第44回大会 @ 東京都立大学 南大沢キャンパス
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異文化間教育学会 第44回大会 大会実行委員長: 岡村 郁子(東京都立大学) 会 期: 2023年6月10日(土)・11日(日) 会 場: 東京都立大学 南大沢キャンパス Welcome to the 44th Conference of the Intercultural Education Society of Japan Venue: Tokyo Metropolitan University, Minami-Osawa Campus Dates: Saturday 10 June – Sunday 11 June 2023 Conference Organising Committee Chair: Ikuko Okamura (Tokyo Metropolitan University) We welcome presentations in English. For details, please refer to the Call for Papers. Please also use the attached template for submitting your abstract: abstracts template 託児サービスのご利用について 第44回大会では、託児サービス業者に委託し、東京都立大学の大会会場の建物の中で託児サービスを提供いたします。 ご利用を考えておられる方は、以下の説明に沿って期日までにお申し込みください。 託児申し込みついて 託児申込書
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教師のためのEdTech体験会 第13回... @ オンライン(ZOOM)
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