続・いま、なぜ「にほんごぷらっと」なのか?

「にほんごぷらっと」は、インターネットサイトの立ち上げ時に「『にほんごぷらっと』とは」のページに「いま、なぜ『にほんごぷらっと』なのか?」という文書を掲載した。目指す目標をはっきりさせるのが目的だった。ただ、ここ数年で日本語教育のめぐる環境が大きく変化した。このため、私たちの果たすべき役割も変化しているように見える。以下、「続・いま、なぜ『にほんごぷらっと』なのか?」を掲載し、私たちの考えを示しておく。

  •           ◇          ◇

2016年11月に発足した超党派の「日本語教育推進議員連盟」は、その活動の成果として2019年6月に日本語教育推進法を制定しました。これを受けて政府が2020年6月に日本語教育の推進に関する基本方針を閣議決定しました。日本語教育の推進に向けた法的な枠組みがおおむね整備されたことになります。

インターネットサイト「にほんごぷらっと」は、日本語議連の活動を幅広く伝えることを大きな目的として発足しました。議連の総会の議論を詳報したほか、議連メンバーの講演、さらには日本語教育や多文化共生に関係する様々な動きに関する情報を、サイトを通じて発信してきました。その意味では日本語教育推進法の制定や政府の基本方針を決定されたことで、「にほんごぷらっと」の当初の目的は果たせたものと認識しています。

ただ、「にほんごぷらっと」にはもう一つの役割があります。「にほんごぷらっと」の正式な名称は日本語教育情報プラットフォームです。役割とはその名の通り「情報プラットフォーム」として、多くの皆様に対して「情報の広場」を提供することです。先に「『入門・やさしい日本語』認定講師養成講座」を開催しましたが、外部の人が参加できるプログラムを企画・運営することを「にほんごぷらっと」の主たるミッションにしたいと考えています。

日本語教育推進法が制定されたことで、日本語教育の重要性が広く認識されましたが、同時に推進法に則った様々な教育課題が浮上しています。留学生のための「読み・書き」中心の教育だけでなく、生活者としての外国人や外国人労働者向けの日本語教育の必要性が叫ばれています。多様でより実践的な「やさしい日本語」への需要も高まっています。

私たちは日本語教育の研究者でも教育者でもありません。しかし、新たな時代のニーズを先取りした取り組みができないか。そんな想いを頭に浮かべつつ、「にほんごぷらっと」を舞台にして日本語教育のサポーター役を果たしたいと考えています。

具体的には、これまでの「情報の発進」から「情報交流の広場」へと活動のウエートを移す、ということです。微力ですが、「にほんごぷらっと」の活動が日本語教育の底上げにつながれば幸いです。

2020年12月

日本語教育情報プラットフォーム(にほんごぷらっと)

代表世話人 石原 進

石原 進(いしはら・すすむ)日本語教育情報プラットフォーム代表世話人

投稿者プロフィール

「にほんごぷらっと」の運営団体である日本語教育情報プラットフォーム代表世話人。元毎日新聞論説副委員長、現和歌山放送顧問、株式会社移民情報機構代表取締役。2016年12月より当団体を立ち上げ、2017年9月より言葉が結ぶ人と社会「にほんごぷらっと」を開設。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

イベントカレンダー

7月
1
終日 留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
留学生に対する日本語教師初任者研修 @ オンライン開催
7月 1 2023 – 1月 3 2024 終日
日振協による文化庁委託の初任者研修が今年も始まります。 告示校で3年程度までの経験者対象です。 映像講義の視聴とテスト、数回のオンライン集合研修、自分の授業を改善する自己研修の3つに分かれており、様々な角度からの学びと教師としてのステップアップを目指せるカリキュラムとなっております。 研修詳細は https://www.nisshinkyo.org/index.php 最新トピックスをご覧ください。
12月
15
9:00 PM 日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
日本語教師のためのじっくり学ぶ講... @ オンライン(ZOOM)
12月 15 2023 @ 9:00 PM – 1月 26 2024 @ 8:30 PM
【講座概要】漢字の知識は、日本の学校教育では国語科で学びます。しかし、その多くは「漢字テスト」の対策であり、文化的な側面や日本語の表記する方法の一つであるという認識が疎かになっているように思います。また漢字文化圏の学生にとっても母語での漢字の位置づけは、日本語のそれと同じものではありません。この講座では、漢字表記を通した日本語の特徴、そして漢字文化圏の日本語学習者を理解することを目的にしたいと考えています。 第1回 2023年12月15日(金) 文字としての漢字 漢字とかな・アルファベットとの違いを理解し、送り仮名・振り仮名の存在などから、漢字とかなの両方を用いる日本語表記の特殊性を考えます。後半では、漢字の構造(なりたちと構成方法)を理解します。 第2回 2024年1月12日(金) 字形 漢字の構造に慣れるために理解したい、部首と偏旁冠脚とのちがい。また、文化庁の「常用漢字表(付)字体についての解説」「常用漢字表の字体・字形に関する指針」や漢字文化圏諸国の「漢字表」を手引きに、「標準字体」とは、どういうものなのかを考えます。 第3回 2024年1月19日(金) 意味と読み 音読み(一字多音の理由)、訓読み(同訓異字のある理由と「使い分け」)、熟語の構成の理解から、日本語と漢語との文法構造の違いについて考えます。 第4回 2024年1月26日(金) 漢字文化圏 中国・台湾・韓国朝鮮およびベトナムでの漢字文化や社会における漢字の位置づけを理解し、漢字文化圏の日本語学習者への理解につなげます。

注目の記事

  1. 有識者会議が政府に技能実習制度廃止を提言 政府の有識者会議が4月10日、外国人の技能実…
  2. 小説家を目指す日系ペルー人 山田マックス一郎さんが語る夢とは 山田…
  3. 外国人は「煮て食おうが焼いて食おうが自由」で共生社会がつくれるのか。 先日、大手新聞、…

Facebook

ページ上部へ戻る
多言語 Translate